17部分:第十七章
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第十七章
「いいわね」
「私の身体がですか」
「いえ、身体だけではないわ」
その小ぶりの胸を揉みしだきながらの言葉である。長身の彼女は相手に対して上から覆い被さる形になっている。そのうえで後ろから揉みしだいているのである。
そうしながらだ。相手に対して言っているのである。
「全てがよ。さっきも言ったけれど」
「私の全てがですか」
「ええ、そうよ」
言いながら責めを続ける。無論二人共全裸だ。そのうえで肌を重ねているのである。
「貴女が相手でよかったわ」
「そう言って下さるのですか」
「言うわ。何故ならね」
「何故なら?」
「今こうして楽しめるからよ」
声が笑っていた。明らかに。
「それが何よりの証拠よ」
「それは」
ここで美女も言ってきた。苦しそうな顔で。
「私もです」
「あら、貴女もなのね」
「はい、とても」
「そうね。わかるわ」
沙耶香は目を細めさせながら彼女に対して言ってみせるのだった。
「それはね」
「おわかりなのですか」
「言葉以上に身体で感じるわ」
「身体で」
「そうよ、貴女の身体でね」
そこからわかるというのだ。それを言ってみせたのである。
「それがわかるわ」
「私の身体が」
「感じているのがわかるわ。熱くなっているしびくびくと動くし」
本人に言ってみせる。それを言ってだった。
そのうえでさらに責める。それは終わらせない。
沙耶香は風呂の中で美女を抱いた。そのまま何処までも楽しむ。そして彼女を片手で抱き寄せながらホテルを出てだ。そのうえでの言葉は。
「素敵だったわ」
「素敵でしたか」
「ええ、とてもね」
こう美女に対して囁くのである。
「よかったわよ」
「有り難うございます」
「また会いましょう」
美女への次の言葉はこれだった。
「いいわね、またね」
「御願いします」
美女からも言った。ねだる言葉であった。
「それでは。また」
「けれどそれにしても」
「それにしても。どうしたのかしら」
「女の人ははじめてでした」
「あら、それははじめてだったの」
「はい・・・・・・」
ほう、とした返答だった。顔も赤くなっている。夜の闇の中にその顔が見えている。満ち足りた顔で沙耶香に対して告げたのである。
「そうでした」
「よかったでしょう」
そのはじめてだった彼女への笑った言葉であった。
「とても」
「はい、ここまでいいなんて」
「女の悦びを知るのは女よ」
「女ですか」
「同じだから知ることができるのよ」
こう美女に告げる。相変わらず彼女を抱き続けている。それは愛し合う二人の仕草に他ならなかった。だがそれは男と女ではない。タイプこそ違うが美女と美女だ。その妖しい美しさを醸し出す組み合わせだった。
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