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ソードアート・オンライン〜Another story〜
現実世界
第154話 追憶のアインクラッド・レイナ編 《後編》
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く理解できないので受け付けられません。人間の心理、ちっとも判りません』
「うそっっ!! ぜぇぇったいうそだよっ!!」
『…………』

 流石は、NPC?無表情に切り替える術に長けている……と言うか十八番だ。完全な無表情。

『で、どうするのだ? このままでは、この者を動かす事は叶わんぞ?』
「〜〜〜っっ////」

 極めつけは、セリフ……言葉遣いも元に戻す徹底ぶりだ。

「ぅぅ……///」

 レイナは、そっと白い岩で寝かされているリュウキの前に座った。

「り……りゅ……き、君」

 確かに、彼の事は好き。本当に大好き。いつか必ず想いの全てを伝えたい、と思っていた。でも、やっぱり女の子だし、……想いが伝わらなかった事を、願いが叶わなかった事を考えたら怖い。だから、まだ踏みきれていない。

 だから、こういう事は想いが伝わった後に……だった。

 でも、これは、これはイベントクエストなんだ。こうしなければ、リュウキは目を覚まさない。

「ご、ごめん……なさいっ/// そ、そのっ、わ、わたし……っ」

 レイナは、リュウキの顔を覗き込む時、目にかかった髪をかき分け、片手で髪の毛を抑えた。彼の顔にかからない様に。

「す、すぅぅぅ……」

 そして、レイナは、息を吸い込んだ。吐息が、顔にかかったら、と思ったから。息をめいいっぱい吸い込んで、ぎゅっと、閉じる。ゆっくり、ゆっくりと近づいてく。

 その距離は、後2、30cm程。

(これは……、カウントしないっ! わ、わたしのふぁーすときすは……、ちゃんとお互いの想いが伝わった後にっ! そ、そう、これは人工呼吸だよっ!!)

 ぎゅっと目を閉じ、自身に念じながらレイナは近づけていく。もうちょっと……もうちょっと……と、自分の頭の中で距離を計りながら、近づけていく。目をつむってるから、完全なイメージだけど。

 ゆっくり、ゆっくりと近づけていく……。


――……後、後何cmくらいだろう?


 もうちょっと、ロマンチックにしたかった、と言うレイナの想いも交錯していく。その時だ。


「ん……っ、んん……」


 声が訊えてきた。それも近く、凄く近くから。

「っっ!!!!」

 レイナは、ぎょっとしながら、目を開けた。後ほんの一寸の距離。その瞬間、リュウキの瞼が開かれ、目があって……。

「……あ、れ? ……レイナ? どうしたんだ……? いや、オレは……」

 幾らリュウキでも、イベント上での仕様で眠らされていたから、状況が把握出来てなかった。自動的に、睡眠状態に陥る様だ。……単純な話、ただの睡眠であれば自力で目を覚ます事ができるが、それをさせなかったのがこのイベントで発生したシステムの力だろう。

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