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ソードアート・オンライン〜Another story〜
現実世界
第152話 追憶のアインクラッド・リズベット編
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」
一応、今の最後客を見送り、人はキリトのみとなった。
「随分と繁盛してるな?」
「そりゃそーね? なんたって、ここ最近は仕入れも良いし、あたしの腕だって上がっちゃってるし!」
「……なる程、それにアルゴも似たような事言ってるしなぁ」
キリトは察した。
あの男と組めば、本当に有名タレントを抱き込んだも同然になる様だ。だから、売上が低迷することも無い。情報屋と武具店、ジャンルが違うからこそ、どちらに偏る様な事も無いだろう。
「ん? アルゴ??」
「いや、こっちの話だよ」
「情報屋にウチの宣伝してくれるの〜? そりゃ忙しくなりそうだけど、嬉しいねぇ」
「……生憎。アルゴは知ってるよ。此処の事」
「な〜んだ。そうだったんだ」
アルゴがリズの店の事を知らない訳はない。ここアインクラッド内において、リズを超える鍛冶職人はまずいない。鍛冶スキルを極めていて、その上、マスターメイサーとも来れば、更に尚更だ。
バックについてるスポンサーもでかいからと言うのも勿論あるだろう。お得意様の中には、血盟騎士団の副団長、副団長補佐の2人までいるから、本当に大したものなのだ。でも、そこまでになるのに、費やした時間と努力はリズが頑張り抜いた結果だ。
「ま、この店を構えるのだって、並大抵じゃない努力をしたつもりだし、トッププレイヤーが複数指名する程の有能スミスではあるつもり。慢心じゃなくっ、常にそれくらいにならなきゃって意識し続けてる結果かもね。志は、目標は、常に高くっ! 日々これ精進! ってね」
「そうだな。……見ていてよく判るよ。それに同い年くらいの女の子がこんなにも頼りにされているのなんて、いい刺激になるよ。勿論、リズの腕だって信用してるしな?」
リズはその言葉が何よりも嬉しかった。沢山のプレイヤーに頼まれて武器を作成し、そして感謝されること、それも勿論嬉しい。でも、目の前の男性に言われるそれはまた一段階違ったのだ。
「ふふん! まっかせーなさーい! 現実世界じゃ、こんな華奢な女の子がハンマー振るう事なんて無いだろうしねー! 終わるその瞬間まで、頑張ったげるわよ!」
リズは、腕をブンブンと振り回しながらそう答える。……自分は最前線を戦えるだけの技能も能力も無い。だけど、自分の武器なら、きっと彼等を、皆を守ってくれる。だからこそ、リズはそう決めていたのだ。キリトはその思いも勿論判っている。
……判っているが、ついつい言ってしまう事があるのだ。
「確かに……、これだけの腕前の鍛冶屋なら、相当マッチョだよな? リズ。腕なんかひと周りもふた周りもあって、肩幅も凄くて、腹筋田の字は当たり前!」
キリトは、ニヤニヤとしながら、想像する。想像上に浮かぶリズの姿を見て更に笑いを誘っていた。
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