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鐘を鳴らす者が二人いるのは間違っているだろうか
32.いつかは猫の恩返し
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ても、俺の頼みを聞いてインプット式にネットワークが機能するということか」
「難しい言葉はねこには理解させられないけど、人探し、物探し、道案内、イエスノーの簡単な受け答えが出来るにゃ!ねこは耳もいいから大声で呼べばどこかのねこが近寄ってくれる筈にゃ」
「そいつは心強い!人海戦術ならぬ『ねこ海戦術』だな!」

 ただし、あくまでねこはリングアベルのいいなりではない。
 嫌なことや無茶なことを頼まれれば拒否するし、濫用すれば見返りを更に求められる。
 ねことは元来気まぐれな生き物。そのことを忘れないようにとミネットには念を押される。

「それと……もう一つ」
「なんだ?」
「もし!……もし、ミネットやビスマルクの力を借りなきゃいけないほどの敵と戦わなくちゃいけなくなった時は、絶対に呼んでにゃ!ダンジョンの中からは無理だけど……必ず!!」
「ミネット……?」

 彼女の小さな掌が、リングアベルの服の裾を掴んだ。近くで寝ていたビスマルクも小さく目を開けてこちらを見る。

「ミネットは、リングアベルを殺そうとしたにゃ。なのにリングアベルはいつだって優しいし、あんなことがあった後でも仲良くしてくれるし……!リングアベルは、ミネットにチャンスをくれたのにゃ!ギルドと、ガネーシャさまともう一度向き合うチャンスを!リングアベルとの関係をやり直すチャンスを!」

 リングアベルが決死の突撃を仕掛けてミネットの首に剣を振った瞬間のことをミネットはよく覚えている。彼は心底申し訳なさそうに、そしてミネットが死なぬことを祈るように一生懸命になっていた。自分の命がかかっている場面であんな表情が出来る人間など、ミネットは未だ見たことがない。

 一回の過ちによって全ての信用と居場所、そして友達と命までも失いかけた。
 更に、もしもリングアベル達が死んでいれば殺人の罪を背負って街そのものから追放されただろう。逆に殺されれば全ては水泡に帰してしまう。
 彼女を救ったのは、間違いなくあの鞘に納められた剣。
 そして、それを振るったリングアベルの優しさなのだ。

 だからこそ、彼女は全てを逆にしてもう一度やり直したい。

「だから、これがミネットの『やり直す勇気(ブレイブリーセカンド)』………次は助けてもらうんじゃなく、リングアベルを助けると決めたのにゃ」

 そう告げて微笑んだミネットの笑顔は――リングアベルに彼女が将来とんでもない美人になることを予感させるほどに暖かく、きれいだった。

「ふっ………こんなにも情熱的に求められては、俺も男として引き下がれんさ。約束しよう、いつか俺を助けてくれ!」
「約束破ったら許さなにゃいよ、リングアベル!!」

 こうして、一人の少女は少年と約束を交わした。
 リングアベルがこの約束に本当の意
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