虎と龍の舞う終端
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桃香を信じて貰うには、桃香の部下で信じられないモノを作ることも必要だった。その役割は朱里にしか出来ず。
生温い軍だと思わせるわけにも行かない。易々と食い破れると思わせてもならない。桃香の理想には、内部崩壊の危機への警戒が足りなかった。内部で其処を埋めるには、彼女だけがそれを背負わなければならなかった。
返す答えは決められているが、返す言葉は選ばなければ。冥琳は深く思考に潜る。
ただ、軍師の駆け引きを見ていながらも、難しい顔に変わったモノが一人。
「朱里……お前……これから友好関係を築こうかって相手に……。
お前や周瑜殿の考えは私には分からないけど……お前達二人を見てるとちょっと寂しいぞ」
それでも人を信じたい。白蓮はそう思う。駆け引きの上に成り立つ関係も、利用し合うだけの冷たい関係も知っている。
此処でする発言では無いと分かっていても、本音を零さずに居られない。
一寸表情が翳った朱里は、その甘さを知っているからこそ心が疼く。
分かっている。本当はこんな事せず自分だって本心だけで話したいのだ。牽制などせずとも信じて貰えるように。
朱里は心の中だけで、誰にも言わないもう一つの小さな策を零した。
――いいんです、これで。私と周瑜さんはこのままでなければいけません。孫呉と私達の亀裂を見えるようにしておかないと、“あの人”は帰って来ないんですから。
自軍の不和を嫌い、敵軍の不和を利用しようとする男が、一人。
幾多もの可能性を高くから覗いて、自分の立ち位置を理解した上で、朱里は幾重も策を練り込む。
朱里は静かに瞼を閉じ、慎ましく頭を下げた。
「申し訳ありません。出過ぎた発言を」
「気にしないで諸葛亮。軍師って生き物の頭の中なんて難しく出来てるもんでしょ。冥琳で慣れてるし……ふふっ、嫌いじゃないわよ」
「ありがとうございます」
「まあ、詳しい話はあとで、ね? 戦も終わったんだし……まずは、此れでしょ!」
答えはうやむやに。まだそれでいい。
とりあえず、と雪蓮はクイと酒を飲む仕草でにやける。呆れた顔で笑う白蓮も、まあいいかと雪蓮に感謝の目礼を一つ。
「お前は本当に……はぁ、分かった。堅苦しいのは止めるわ、私も」
「あら、普通に話しちゃうの?」
「誰かさんのせいでバカらしくなった」
「そっちが素なのか?」
「結構混ざってるけどねー♪」
「一緒にしないで雪蓮。私はちゃんと弁えてるわよ」
「凄いな……結構苦手なんだよなぁ」
「あー、分かるわ。堅苦しい時についぽろっと出ちゃうのよね?」
「そうそう、軍議の時とかさー」
「噂に聞く白馬の王にしては意外ね」
「その呼び名恥ずかしいから止めてくれ――」
何処となく溶け込んでしまう白蓮に、雪蓮
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