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ウィッチの時間
4彼女の想い

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中はあまり昔と変わっていなかった。
埃被ったプラネタリウムにできるライト。真ん中に広がる大きな円柱状の平らな台。
その上に乗り、上を見上げれば、いくつもの星々が広がっていた。
「…わぁ!」
思わず息を飲んで感嘆の声をあげる。小さな星から大きな星まで重なって見えたりするから、どれがどの星座かはあまり良く分からないが、ずっと見ていられるような、そんな星々たちが空で踊っていた。
「……楽しそうだね」
「…!!」
急に降りかけられた声に反応するように後ろの二階付近を見つめる。
するとそこには深緑色の短い髪を揺らし、月明かりに照らされ不気味に微笑むレネア・ハウイータの姿があった。
ミナの額に嫌な汗が滲み出る。
彼女より一つ位が下の授業どまりである彼女がこの階に居ることは許されない。
「…レネア、屈折魔法から影魔法の応用まで使って私に手紙を届けて、しかも魔法禁止時間に、来てはいけない階にある展望室にまできて…どこまで掟を破れば気が済むの?」
怒ったような口調でレネアに問いかければ、彼女はミナを睨むように見つめたあと、ふんわりと二階から降りてくる。
そういて円柱状の平らな台の上へと足を運ぶと小さく口を開いた。
「いいじゃない、私の勝手でしょ。」
「…そうだけど」
彼女の纏うオーラがいつもと違う。ミナは感覚的にそう感じ、一歩後ろに下がることしかできなかった。
募りに募った憎しみが全て表れ出ているかのような。
「…でもミナもよく来たね、私がここに居るなんて確証、何処にもなかったでしょ」
そんなミナの困惑に気付いていないのか、レネアはどんどん距離を縮めていく。
「レネアは…呼んでおいて来ないとかする人じゃないって分かってたから」
首が絞められそうな勢いでこちらを冷たい目で見てくる彼女に圧されて息苦しい。
そんな中ミナが発した言葉にレネアは思わず吹き出した。
「こんな状況下でよくそんなこと言えるね…、ほんと面白いわ」
レネアから伸ばされた手は、彼女の、月明かりに照らされ綺麗に輝く藍色の髪に触れると唇を噛んで踵を返した。
そうしてそのまま二階にふわりと舞い上がり、ミナを見下ろす体制となる。
「…なんで私を呼んだの」
「決まってるでしょ」
そう口にすると、口角を不気味に吊り上げた。
「ミナを裏切るため」
急にミナの足元が紅色に輝き始めた。
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