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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
少女の葛藤
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季は、そこで初めて笑った。

「ありがと、テオドラ」

「ん…………っと」

照れくさげに鼻を掻いていたテオドラだったが、唐突に視線を一点で固定した。どうやらフレンドメールでも届いたらしい。

「なんだなんだ今日は。また頼みか?」

「誰からなの?」

「カグラから。マイがどっかいったらしい。知らないかってさ」

はぁ?とユウキは小首を傾げる。

どっかいったとは言っても、と。

我が従弟の大事な人であるマイは、正しくALOの住人として運営側から認知されていない、いわゆるバグの一種と言ってもいい存在だ。そのためなのか、彼女にはプレイヤーとして所持が許されている翅を持ち合わせていない。

普段住んでいる浮遊島から外出する時は、他のプレイヤーに―――主にレンだが―――ひっついていくしかないのである。とはいえ、それ以外にも方法はあると言えばある……のだが。

「まさか……飛び降りたの?」

「それしかないだろ。チッ――――あーもー、最近のガキンチョはどいつもこいつも」

腹立ちまぎれに言われたその言葉に素直に反論できないガキンチョbP。

ともあれ、基本的にヒマなのだろうか。ぶつくさ言いながらも、テオドラは土妖精特有の土色をした二対の翅を広げた。

「つーワケであたしはもう行く。後は自分で適当にできるな?」

うん、と勢いよく首を縦に振る少女を見、《柔拳王》と呼ばれた女性は口許が緩むのを止められなかった。

―――いい表情だ。

ぽつり、と。

そう胸中で呟いて、テオドラは大空に舞い上がった。
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