暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第1章 光をもとめて
第10話 並木の間を歩きながら
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むむ、それにしても、やはり ここは広いぞ。以前はあっさりと攻略したと言うのに、なんなのだ」
「知らん。……が、モンスターの数は多い気がするな。辺境よりも、あの盗賊共の住処よりも、だ」
「むがー、そうだった! 数が倍増しではないか。貴様が、モンスターを引き寄せているのではないのか!」
「オレに魔物を操る様なスキルは無い」

 ランスが暴れるのも無理はなく、モンスターの数が多いと思っていたら、ランス曰く 先ほどよりも多いとの事だった。時間帯と言うものがあるのか、何かが呼び寄せているのかは判らないが。

「一先ず手分けして調査するぞ。屋敷だから、と思っていたが、ここまで広いとは思ってなかった」
「ぐむ……、楽できると思ったら、更にめんどうになるとは」
「はいはい。じゃあ、オレは右回りで」

 ランスはまだブツブツ言っていたけれど、とりあえず置いといて、ユーリは先へと進んでいった。

 そして、ユーリはその後、時計の間、書庫等の部屋を探索していき、探索を続けていくと。ある部屋へと到着。その中を更に調べていて。

「………」

 ふと、足を止めた。そして、軽くため息を吐きながら、ゆっくりとした動作で振り返る。

「いるんだろう? 出てこいよ」

 部屋に備え付けられていた効果な茶箪笥の方を向いて呼びかけた。すると、妙な影が動き出す。

「やっ♪ ひっさしぶり!」

 出てきたのは、見知った女性だ。露出度の高い盗賊服を装備し、その紅色の目が、暗い屋敷の筈なのに、はっきりと見える。

「はぁ、何してるんだ? ここで。空き巣か?」
「あーら、つれないわねー。あなたの事が忘れられなくって、ついてきたっていうのに〜」
「アホ」

 ため息を吐いて苦笑いするユーリ。そう、この相手は、例の盗賊団の副団長をしていたネカイだ。ニコニコと笑みを浮かべているけれど、追いかけてきたとネカイは言っていたので、ユーリは。

「それで? 首尾はどうだ?」
「う〜ん、王族の別荘っていうから、期待はしたんだけど、思ったよりショボイし幽霊は出るし……、もう帰ろうかな? って思ってたトコ」

 引っ掛けるつもりで言ったのだが、ネカイはやられた、とは思っていない様だ。最初から隠すつもりは毛頭なかった様子。

「成る程な」
「あは♪」

 そして、悪びれる様子も無い。不法侵入は罪に問われる事だが、生憎とそれを取り締まる様な依頼も受けていないから別にどうこうするつもりはユーリには無かった。
 そして、ネカイは、くるくると鍵の様なモノを指先で回しだした。

「ん? それは、ここの屋敷の鍵か?」
「ああ、これ? ここにあった部屋の鍵よ。2本とも、なんでか目に付く所に、ぽいっと置いてあったの」
「……目に付く所に、ね」


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