第1章 光をもとめて
第10話 並木の間を歩きながら
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あの男を危険と感じますか?』
そう訊いたと同時に、マリスは頷いた。
『ええ。警戒する事に越したことはありません。頭は、ランスと言う男と比べたら、比較にならないでしょう。監視する際にも、注意をしなさい』
『……判りました。では』
忍者は、返事を再び返すと同時に、音もなく姿を消した。
『まってく……、こんなところで躓かないでよね。せっかく面白くなりそうなんだから……』
『リア様、あの男だけは……』
『マリスがそこまで警戒するんだもん。判ってるわよ。だけどね。……ケンカ、売ってきたのは向こうなんだし。……それとも何? マリスは逃げた方が良いって言うの?』
マリスは、そこまでは言ってはいない。警戒をする事に越したことは無い、それはさっき女忍者にいったばかりであり、まさにそれしか考えられないのだ。
お戯れが過ぎる、とは想っているが、 リアの事を最優先に考えている為、否定をする筈も無い。
『いいえ。私はリア様について行きます。逃げるなどとは、リア様にふさわしくありません』
『でしょ? あ、マリス。お茶、おかわり』
『はい。ただいま』
『ふふふ……、もう少し、観察しましょう。あの場面になったら、どういう行動を取るのか……をね』
妖艶な笑みを魅せるリア。そして、盲目とも言える程に信頼、心酔しきっているマリス。その狂気の遊びは、まだ 始まったばかりだった。
〜妃円屋敷〜
リアの命令通り、手紙を置いてきたばかりだった。後少し 設置するのが遅れていたら、あの男と鉢合わせをしていた可能性もあった為、少なからず肝も冷やしていた。
「……監視は一応、しておこうかな。気配を完全に……」
そう呟くと、意識を集中させる。視覚的には見えている筈だと言うのに、まるで姿までが薄くなったか? と思える程、彼女は無になりつつあった。
そして、ユーリはと言うと。
妃円屋敷の扉の前に立ち、そしてこの建物全体を見ていた。
「………ふ」
そして、軽く笑っていた。その僅かに漏れた吐息の程の笑みと声は、確かに女忍者の研ぎ澄まされた聴覚に確実に届いていた。だが、何故笑うのかが判らない。
その時、だった。
凄まじい、何かが自分の身体全体を叩いた感じがしたのは。
「……ッ!!」
思わず、叫び声をあげてしまいそうだった程だ。全身を叩いた何か、それは言うならば殺気だ。
似たようなモノを何度か感じた事はある。それは敵だったり、モンスターだったり、と種類は様々だが、その中でも、一番の強敵と天秤に梳いえても、軽すぎる。まだかなりの距離があると言うのに、まるで、自分自身に向けられている様だった。
「おいコラ! 下僕1号」
そんな時、だった。2人組の内の1
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