九十 天才VS秀才
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た拳法だな。それに驚くほど柔軟……面白い)
互いに互いを心中賞賛する。
攻撃の手を休めぬネジ。回避し続ける君麻呂。
冷静な者同士、相手の動向を窺いつつも戦闘は引き続く。
鋭い手刀で何度突いても風を切る音がして、ネジの瞳に若干焦りの色が生まれる。
君麻呂は以前中忍試験に参加していた。故に当然、ネジの日向一族としての能力を知っている。対して予選試合を棄権した君麻呂の能力をネジは知らない。
つまりこの時点でネジが圧倒的に不利なのだ。焦燥に駆られるのも無理はない。
不意に、長い着物の裾を翻して、君麻呂が地を蹴った。同様に跳躍したネジが手刀を突こうとする。
だが次の瞬間、ネジは反射的に手を引っ込めた。
(なんだ…!?)
何か鋭利な物で斬られ掛けたネジは、着地すると同時に距離を取った。敵を注視する。
目前の君麻呂は寸前と変わらぬ佇まいだ。しかしながらよく見ると、長い裾に隠れて何か白いモノがちらちら垣間見える。
「こちらが君の力を知っているのに、君が僕の能力を知らないのはフェアじゃないからね」
焦りの色に目敏く気づいたのか、君麻呂は長い裾に隠れていたモノを露にさせる。何か白い鋭利なモノが掌から生えている様をネジにわざわざ見せてやってから、君麻呂はソレを引っ込めた。
普通の手に戻すや否や、自らの着物を少し肌蹴させる。ネジの怪訝な視線を受けながら、彼は露出した左肩に手を伸ばした。途端、ネジの眼が大きく見開く。
拳と同じ、何か白いモノが左肩の皮膚を突き破って現れる。それはネジの知る限り、一つしか無かった。
「……っ、骨…ッ!?」
痛みを感じないのか、己の骨を引き出す君麻呂は無表情だ。とうとう左肩の骨を丸ごと一本引き抜くと、彼はソレをまるで刀のように掲げてみせた。
「これが僕の血継限界」
刀に見立てた骨が白く輝く。自身の能力をわざと暴露した当の本人は、「さて、それじゃあ」と実に涼しげな顔でネジを促した。
「続けようか」
もうすぐ森を抜ける。
前方から射し込む陽の光が徐々に大きくなってゆくのに気づいて、三人は何度目かの背後確認をした。やはり誰も追い駆けて来ない事実に落胆の息をつく。
日向ネジ・日向ヒナタ、そして波風ナル。残された三人の安否を気遣っていた彼らは、その瞬間、大きく飛退いた。
爆音が谺する。
「トラップ…!?」
今更仕掛けられていた罠に、シカマルは眉を顰めた。飛び散る木材の破片を腕で庇いながら、キバといのの無事を眼の端で確認する。
そしてすぐさま、突然のトラップ発動にシカマルは周囲を警戒した。
おかしい。追跡者の存在を敵はとうの昔に把握していた。だからもしトラップを仕掛けるとしたら、序盤の段階で仕掛けるはず
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