23部分:第二十三章
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第二十三章
「貴方の髪の色は綺麗な黒ね」
「髪の色は」
「染めてもいない綺麗な黒ね。プールの中にいれば」
「脱色していく」
「どうしてもね。けれど貴女にはそれがない」
指摘する二つ目のことはこれであった。
「だからよ。この二つでわかったのよ」
「そうだったんですか」
「いいわ。中々」
そして今の言葉であった。
「気に入ったわ」
「気に入った。何をでしょうか」
「貴女がよ」
こう言ってみせたのである。
「貴女がね」
「私が」
「そうよ。幸い」
沙耶香はそこに居続けていた。だが、であった。美女の後ろから出て来てみせたのである。もう一人の沙耶香がそこに出て来たのである。
「ここにいるのは二人だけよ」
「二人だけ」
「そう、二人だけよ」
彼女の後ろから笑って言ってきたのである。
「二人だけ。後には誰もいないわ」
「では一体何を」
「貴女を楽しみに来たのよ」
またもう一人出て来た。彼女の前にである。
それは先程までロッカーのところにいた沙耶香である。そのロッカーが並べられ緑の床のその部屋の中を静かに動いてやって来たのである。
「今からね」
「今から・・・・・・まさか」
「そのまさかよ。今から貴女は私のもの」
後ろにいたもう一人の沙耶香は何処かに消えていた。見れば沙耶香自身の影の中に消えていっている。そうして消えてしまったのである。
「私のね」
「まさか貴女は」
「そうよ。そうしたことを楽しむ人間なのよ」
目を細めさせていた。その妖しい目で話すのだった。
「それをね」
「それは・・・・・・」
「嫌だというのかしら」
彼女の言葉は既に見抜いていた。
「まさかとは思うけれど」
「私はそんなことは」
「知らなければ知ればいいのよ」
知らないものを拒もうとしていることもわかっていた。だからこうも言ってみせたのだ。
「それだけなのよ」
「それだけ・・・・・・」
「そうよ。それだけよ」
彼女の目を覗き込んでの言葉だ。そうして。
「そして今は誰もここにはいないわ」
「私達だけですね」
「ええ。だから」
そして次の言葉は。
「楽しみましょう」
「・・・・・・はい」
彼女は沙耶香の言葉にこくりと頷いた。それで全ては決まった。
沙耶香はここでも女性を楽しんだ。そしてその後で更衣室の中で服を調えていた。
相手の美女は水着のままだった。だがあられもない部分をはだけさせている。そのうえで沙耶香の側に座り込んでいた。
沙耶香はその美女にだ。艶やかな笑みを含んだ言葉をかけた。
「どうだったかしら」
「これが女の人ですか」
「男は知ってるわよね」
「はい・・・・・・」
赤らめさせた顔でこくりと頷いて答えた。
「それは」
「どちらがいい
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