暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
始まりと終わりの地
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 「闇? どういう意味でしょうか」
 「私は、アリアの為にこの空間を残したの。結晶はアリアの力に反応して機能する、空間の扉を開く鍵。訪れたアリアを、天の高みへ送り出す必要があったから」
 扉……天の高み?
 「あの歌が示していたのは、此処ですか?」
 宝石と共に託された不思議な歌。その中にあった単語を思い出す。
 あれは……
 「そう。歌はアリアに残した導き。鍵が道を示す呪文。光と夜の境に満ちて、巡る祈りは天の高みへ。辿れ、朽ち行く聖の先を。扉はきっと開くだろう。……此処は神々が眠る世界へと繋がる階。神殿は、アリアを彼らの元へ逃がす聖地なの」
 「逃がす?」
 「…………私は、どうしてもアリアを殺せなかった。それがどんなに危険な事か判っていても……僅かな間だけでも、人間として生きて欲しかったの」
 殺せなかった?
 アリアを殺そうとした?
 この少女の声が?
 「お願い。アリアを此処に連れて来て! 万が一あの子が闇に触れたりしたら、世界が取り返しのつかない事になってしまう! そうなる前に早く!」
 「事情は分かりませんが、それは難しいです。私達が捜しているのは、そのアリアなので……」
 少女の声が息を呑んだ。
 「……そう……」
 (しばら)くの落胆と沈黙の後、魚達の姿がぐにゃりと歪んだ。
 空間を閉じようとしている。そんな気配。
 「待ってください! 貴女はアリアの、なに」
 「私は、アリアを眠らせる為の扉。あの子に会えたら、結晶を必ず、アリアに渡して……。アルフ 達 が 命を 懸けて 護った 世界 を…… たす け……」
 少女の声が小さくなっていく。
 耳鳴りがする。
 空間が閉じる。
 鉄鍋の底で殴打されたような痛みが全身を襲って……


 「起きろ!」
 パチッと目を開いた。視界いっぱいに広がる青い空と濃い緑の葉波。
 それと、呆れた顔のベゼドラ。
 「……もしかしなくても私、倒れてますか?」
 「ああ。答えるのも面倒臭ぇくらい、分かりやすく倒れてんな」
 空間に転移した……のではなく、意識だけが飛ばされた?
 宝石も本も、両手でしっかり抱えたままだ。
 「貴方は、少女の声を聞きましたか?」
 あの場所には自分の姿しか無かったと思う。一応尋いてはみたが、答えはやはり「なんだ、そりゃ」。
 「どうやら、私だけが招かれたみたいです。詳しくは後で説明しますが、この場所にアリアを連れて来てと頼まれてしまいました」
 「はぁ? アイツを捜してんのは俺らだっつーの」
 宝石をポケットに仕舞い、本を片手に起き上がる。
 ロザリアに直接繋がる手掛かりではなさそうだが……
 「神代の方々は、どうしても私達を世界に関わらせたいらしい」
 アリアを助けてならともかく、世界を助けてと言
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