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剣の丘に花は咲く 
ゼロの使い魔編
第十五章 忘却の夢迷宮
第七話 笑顔という仮面
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。黄金の槍を引き抜きながら回し蹴りでジョゼフの身体を甲板に叩きつけた。
 その時、ジョゼフの胸元から一つの赤い石が転がり出た。

「姫さまっ!?」
「―――っ!?」

 それに気付いた瞬間、盾になるように立つアニエスの背後にいたアンリエッタが飛び出した。両手を後ろに縛られ、上手く動けない姿でありながら、必死に走り甲板の上を転がる赤い石に飛びついた。

「っ、んっ!」

 大きく口を開き甲板の上の“火石”を咥えたアンリエッタは、飛びついた勢いを殺せずそのまま甲板の上をゴロゴロと転がっていく。その後を必死の形相でアニエスが追いかける。 
 士郎はその様子を視界の端に捕らえてはいた。しかし、助けにいっている隙はない。甲板の上に叩きつけられた衝撃でジョゼフの腕から引き抜けた黄金に輝く短槍を横凪に振るう。

「っグ」

 くぐもった悲鳴を上げたのはワルドであった。士郎に向かって剣を振り下ろそうとしていたワルドだったが、己が杖を振り下ろすよりも早く士郎の攻撃が当たると判断し、剣状の杖を縦に構えた。しかし、人外の身体を更に強化したとしても、士郎の一撃を受けるには構えも体勢も整っていなかった。剣戟と言うよりも爆薬が破裂したかのような衝撃と音が響き、ぐらりとワルドがたたらを踏んだ。そんな隙を逃す筈もなく、本能的に後ろへと逃げるワルドの胸を目掛け、士郎は黄金の短槍を全力で突き出した。

「ゴ―――アッ?!」

 以前と同じ、いや、それ以上に硬かったワルドの体であったが、数瞬の拮抗の後、ついに士郎の突き出した黄金の短槍の穂先がワルドの胸の中央に半ばまで突き刺さった。
  
「お―――お、ッ、オオオオォォォォォォッッ!!」
「ッガ、アア、アア、アア―――」

 雄叫びをあげ突き刺さった短槍を、士郎は全身をバネのようにしならせ突き出した。
 
「っぃ、―――硬い―――っ!?」

 噛み締めた口元から苦しげな声が漏れる。
 短槍の穂先は半ばからそれ以上は進むことはなく、槍先から離れたワルドの身体が吹き飛んだだけであった。
 
「……」

 砕けた甲板の欠片が砂埃のように舞う中、士郎は油断することなく周囲を見渡した。槍に貫かれ吹き飛ばされたワルドは、船の端。舷縁に寄りかかるように顔を俯かせて倒れている。黄金の槍で貫かれた胸にはポッカリと穴が空き、暗い闇を見せていた。ピクリとも動かないその様子から、意識はないものと思われた。
 そして甲板に叩きつけられていたジョゼフは、槍に貫かれた腕を押さえながら身体を起こし、士郎を睨みつけていた。

「おれとアレを一蹴、か……まさかここまでの化物とはな、想像以上の強さだ“ガンダールヴ”」 
「……気が済んだならさっさと残りの“火石”を渡してもらおう」

 短槍とデルフリンガーを
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