暁 〜小説投稿サイト〜
剣の丘に花は咲く 
ゼロの使い魔編
第十五章 忘却の夢迷宮
第七話 笑顔という仮面
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てくる。士郎は次々に迫るガーゴイルの攻撃を滑るような動きで避けながら、次々にガーゴイルを細かな部品へと変えていく。十数体のガーゴイルが、全て細かな部品になって甲板に転がるまで十秒も掛からなかった。

「……気は済んだか」

 バラバラとなったガーゴイルの中心で、打つ手がなくなったミョズニトニルンを睨み付ける士郎。だが、甲板上のガーゴイルを全て失った筈のミョズニトニルンは、狼狽えるどころか不敵な笑みを浮かべていた。

「舐めるなと言っただろうがっ!!」

 ミョズニトニルンの叫びと共に、士郎の周囲に散らばっていたガーゴイルの残骸が勝手に動き出し、欠片同士が粘土のようにくっつき元の形へと戻っていく。

「これは……」

 訝しげに目を細める士郎に、ミョズニトニルンが自慢げに声を上げた。

「はっ! このガーゴイルは特別に水の力に特化させたものだよ。ヨルムンガンドほどではないけど、不死身に近い。どれだけ細く切り刻んだとしても、元通りになってしまう。さあ、どうする? 剣士のあんたには最悪の相手を前にして」
「……投影開始(トレース・オン)

 復活したガーゴイルたちが士郎に襲いかかる中、士郎は一つの槍を投影した。
 それは黄金に輝く通常の槍よりも短い短槍。
 左手にデルフリンガー(長剣)
 右手に短槍を握った士郎は、焦る様子を見せることなく先程と同じように襲いかかるガーゴイルを次々に切り倒していく。あっと言う間に先程の巻き戻しのように倒されたガーゴイルを前に、しかしミョズニトニルンは不敵な笑みを崩さなかった。直ぐに復活すると分かっていたからだ。
 だが、いくら待っても復活しないガーゴイルに、次第に焦りだした。

「な、ど、どういうことだい? もう復活しても可笑しくないはずなのに……ッ!? ガンダールヴッ!! 一体何をしたぁっ!?」

 悲鳴にも似たミョズニトニルンの声に、士郎は右手に握った黄金の短槍を一振りするだけで応えることなくジョゼフに向き直った。
 
「さあ、茶番は終わりだ。痛い目に会いたくなければその手にあるものを渡してもらおう」
「まったく、凄まじいものだ。だが、他にもガーゴイルはいるぞ、おれの相手をしている暇などあるのか?」
「その頼りのガーゴイルたちは、どうやらロマリアの聖堂騎士たちの相手に忙しそうだが?」

 士郎がチラリと視線を向けた先では、士郎の後に続いて飛んできたペガサスなどの幻獣に跨ったロマリアの聖堂騎士たちがガーゴイルたちと戦う姿があった。もし士郎の迎撃のため、ガーゴイルを呼び戻せば、たちまち聖堂騎士たちが乗り込んでくるだろう。

「そのようだな。ならば仕方がない。おれが相手をするしかないようだな」
「なに?」
「とは言え流石に一人では荷が重い……助っ人を呼ばせて
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