ゼロの使い魔編
第十五章 忘却の夢迷宮
第七話 笑顔という仮面
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ゴイルを尻目に、士郎の身体は次のガーゴイルに向かう。川に設けられた飛び石の上を跳ねるようにガーゴイルの上を飛び跳ねる士郎。足場にされたガーゴイルは、士郎が移動する度に破壊され地に落ちていく。
迎撃のつもりで放ったガーゴイルが、ただの足場にされている状況に、ミョズニトニルンがガーゴイルたちを慌てて引き返させる。しかし、既に遅きに逸していた。残ったガーゴイルが戻るよりも先に、士郎の足はフリゲート艦の甲板に降り立った。
「……お前が、ガリア王ジョゼフか」
「ああ、初めましてだねエミヤシロウ。いや、ガンダールヴと言っておこうか?」
甲板の上で士郎とジョゼフが相対する。
「ふむ。まさかあの短時間でここまで来るとは、噂に違わぬまさに“英雄”」
「御託はいい。この場で投降するなら怪我をしなくてすむが、どうする?」
士郎がデルフリンガーを抜き、切っ先をジョゼフへと突きつけた。
万の軍勢にも打ち勝ったと噂される“英雄”を前に、しかしジョゼフは恐ることなく小さく肩を竦ませると懐から二つの紅い石を取り出した。
「お前の目的はこれだろう」
「……それが“火石”か」
「ほう、知っていたか。その通り。これが“火石”だ。心配せずともこの二つで全てだ。だが、この二つどれも先ほどよりも強力だ。あれは精々半径五リーグだが、この二つはその比ではないぞ」
懐から二つの“火石”を取り出したジョゼフが、それを人質のように士郎に突き出している。
下手に攻撃すれば爆発の可能性があると、士郎が動けない中、ジョゼフの探るような視線が向けられた。
「ほう。流石に冷静だな。あれほどのものを見て、それでもその落ち着きよう。ますます驚いたぞエミヤシロウ」
「貴様に褒められても嬉しくはないな。まずはそれを渡してもら―――」
―――おうか。
そうシロウが口にしようとした時、ミョズニトニルン操る十数体のガーゴイルが襲いかかってきた。
「ガンダールヴッ!!」
羊のような角、頑健な肉体、背には蝙蝠の翼を持つガーゴイルが士郎を取り囲み、一斉にその爪を、牙を振り下ろす。
四方から迫るガーゴイル。
逃げる場所などない死地。
しかし、
「―――ッ」
甲板に一陣の風が吹いた。
牙を、爪を振り下ろそうとしたガーゴイルがピタリと動きを止め、ぐらりと揺れたかと思うとバラバラに切断され甲板の上に腕が、足が、胴体が転がる。
血を振り払うかのようにデルフリンガーを一振りした士郎は、ジロリと悔しげに歯を噛み締めるミョズニトニルンを睨みつけた。
「邪魔をするなミョズニトニルン」
「っ、舐め、るな―――ッ!!」
ミョズニトニルンが腕を大きく横に振るうと、それに応じるように残ったガーゴイルが襲いかかっ
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