ゼロの使い魔編
第十五章 忘却の夢迷宮
第七話 笑顔という仮面
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「―――士郎ッ!!!」
それに最初に気付いたのは、遠坂凛であった。
五つの属性を全て兼ね備えた五大元素使い故か、それとも宝石魔術の使い手だからか、己に迫る桁違いの力の存在に誰よりも早く気付いた。
それが何なのかはわからなかったが、直ぐに対処しなければならないと強迫観念に近い予感を感じ、逆らう事なく凛は己の直感に従い声を上げた。
タバサたちが立つ壇上の下で待機していた士郎は、その切羽詰った凛の声を聞いた瞬間、祭壇の上に向かって飛び上がっていた。
壇上の上に飛び上がりながら周囲を見渡し目的の人物―――凛が指差す方向へと顔を向けた。
「―――ッ!?」
凛が指差した先は北東の空の向こう。常人の目にはただ青い空と白い雲しか映らないが、強化した士郎の目は、遊弋する一隻の船と、こちらへと向かって飛んでくる一体のガーゴイルの姿を捕らえた。そしてガーゴイルを見つけた瞬間、士郎の背筋に悪寒が走った。
アレはいけない。
絶対に近付けさせてはならない。
今すぐ迎撃しなければならない。
さもなければ―――。
焦燥にも似た衝動が全身を駆け抜ける。
しかし、士郎に動揺はなかった。
何故ならば、こういった事は初めてではないからだ。
数え切れない程の戦場を駆け抜けてきた士郎には、馴染みといっていい感覚であった。
命が危険に晒されている感覚。
遥か彼方、士郎の目には北東の空から迫るガーゴイルの姿をハッキリと捕らえていた。その手に握っている紅い石についても、獲物を狙う鷹のような目が捕らえていた。
タバサたちが立つ壇上に降り立つまでに状況を悟った士郎は、足が祭壇の上に触れると同時に、迎撃の為の武器を創り出した。
「―――投影開始」
それは弓と矢。
弓は洋弓と和弓が合わさったかのような射ることに洗練された黒塗りの弓。
矢は紅い、まるで血が凝固して出来たかのような一本の矢―――否、剣。
突然壇上に現れた男―――それも武器を持った男の登場に、周囲に混乱が起きる。そんな騒がしい周囲を無視し士郎は紅い矢を弓につがえ、北東の空へと構えた。
「全軍を下がらせろっ教皇ッ!!」
「一体どうし―――」
切羽詰った声に、士郎に詰め寄ろうとしていたヴィットーリオの足が止まる。
理由を問おうと開かれた口から言葉が出る前に、しかし、士郎は既に行動を起こしていた。
拙速を重視し、必要最低限の魔力が矢に充填されると同時に詠唱し矢を放った。
「―――赤原猟犬」
放たれた矢は紅い雷を纏いながら音を置き去りに標的へと迫る。
紅い閃光の先に目を向けず、士郎は未だ状況が
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