忘却のレチタティーボ 6
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「ステラ……！ 良かった……。ステラ……」
見慣れた男性が私を膝に乗せ、頭と上半身を強く抱えて震えてる。
「スイ……」
真っ赤な目の白い兎。澄んだ銀色の髪と氷色の瞳が、綺麗すぎてちょっと恐い男性。
ずっと一緒に居てくれた、私の友達。
「ごめんね……愚痴ばっかり言って、八つ当たりして。なのに傍に居てくれて……」
あぁ……そんなに泣いたら、せっかくの綺麗な氷が溶けちゃいますよー……。
でも、白目部分が赤くなると、兎のスイみたいだなぁ。
「見ててくれて……ありがとう……」
鬱陶しかったら、先日みたいに引き剥がしてポイしてくださいね。でも、覆い被さるのはご勘弁を。心臓が破裂しちゃいます。
「……ステラ？」
自由に動かせる右手で上司殿の頭を撫で撫でする。
う……こ、この手触りは反則でしょっ！？ さらさらで滑らかで……気持ち良いにも程がある！
しかし、目的は其処ではありません！
私を抱える上司殿の手が、驚きで弛んだ。
良し。狙い通り！
「ステラ」
頭から離すのを惜しみつつ……右腕と動かせるようになった左腕で、上司殿の体をぎゅうーっと抱き締める。
あ、やっぱり怪我は治してくれたんだね。ありがとう、名前も知らない綺麗な女性さん。
スイが二度も死ななくて、本当に……良かった……。
「生きるよ。私が無能なのは何一つ変わってないし、気持ちだけ前を向いても直ぐに折れちゃうと思うけど……でも、生きるよ。貴方が命懸けでくれた道だから。絶対、投げ出したりしない」
「ステラ……」
ひぃっ！ もうすっかり夜なのに見上げたら後光差してるんですけど！？ 泣き笑いとかしてる頭の上に光の輪が見えるのは錯覚でしょうか錯覚ですよね！ 夢の中で自分の事、悪魔って言ってたし……ねって……
あれ？
「メアリ様……じゃない、メアリさんは？ 私、メアリさんに捕まえられて、綺麗な女性に助けられて……」
腕を外して周囲を見渡してみる。クロスツェルさんと黒い人が愕然とした表情で立ってるけど、綺麗な女性とメアリ様の姿が見当たらない。
「メアリは……消えた」
「？ 消えた？」
足元をよく見ると、百合の花弁に紛れて白い粉……灰？ が散ってる。位置的には多分、メアリ様が立ってた辺りだと思うけど……なんだろう、これ？
「何故だ」
「え……？ ちょっと！？」
黒い人が大股に歩み寄って来て、いきなり上司殿の髪を鷲掴んで引っ張り上げた。
「何故お前がアリアを喚べる！？ 説明しろ！！」
「！ やめて！ スイに乱暴しないで！！」
思わず上司殿を掴む黒い人の腕を抱えてしまったけど、えーと、どうしよう？ 滅茶苦茶怒ってるっぽい。
でも、暴力は良くない。
絶対良くない！
「いきなり手を上げても問題
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