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逆さの砂時計
忘却のレチタティーボ 6
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の神殿……なのかな?
 「もう良いだろう。俺は他に何も知らない。ステラを助けてくれたのには感謝してるが、それだけだ。アリアなんかどうでもいいんだよ。ステラを離してくれ!」
 クロスツェルさんがベゼドラさんに一つ頷いて、私を解放してくれた。
 膝立ちの上司殿に駆け寄って、鷲掴みにされた髪を撫でる。さらさらだから直ぐに戻ったけど、変な癖が付いたらどうするのよ。もう!
 「……髪の心配は要らないから。」
 「呆れないでください。私には結構重要な点なんです!」
 「……いや、まぁ……良いんだが……」
 「ふぇ!?」
 な、なんでお腹にしがみ付くんですか上司殿!?
 あ、そうか膝立ちだから……いや、それはあまり関係無さそう。
 「……大丈夫ですよ、私は」
 そこまでふるふる震えられると、私としてもどうして良いものか、困ってしまいます。
 でも、これはあれだ。うん。この人はスイなんだから、スイを抱っこしてる感じで良いんじゃないかな。さっきもポイされなかったんだし。
 頭を抱えて撫ーで撫で。
 あぁ……スイとは違うけど、この滑らかな手触りには癒されるぅー……。
 「……君の仕事、三割増し。」
 「へ!? な、なんで!?」
 「なんとなく」
 「上司権限行使して苛めないでくださいっ!」
 あー、でも。
 一週間と一日自宅待機の初日だったよね、私。
 言い付けを破った罰だと思えば
 「冗談だ」
 ……なんか、くすくす笑ってるし。
 私、もしかして揶揄われてる? 上司殿ってこんな性格だったっけ?
 「君は予定通りに休暇を過ごしてくれ。外出は自由にしてくれて構わない。君を狙っていたヤツは、もういないから」
 狙って?
 あ……そうか。突然押し付けられた長期休暇は、私をメアリ様から遠ざける為だったのか。帰りに付き添ってたのも、何か知ってたから……。
 「事後処理は俺がしておく。暫くは忙しくなるから、迂闊に職場を彷徨かれても俺が困る。解るな?」
 「……はい」
 立ち上がった上司殿に見下ろされて、渋々頷く。
 自分の事ではあるんだけど、一連の流れを体験した限り、正直自分の手には負えない。
 自分の力不足を感じたら素直に上司に従う。
 これも貴方が教えてくれたんですよね。
 「休暇が終わったら、また、お願いします!」
 ぺこっと一礼したら、一瞬驚いて……私の頭を軽く叩いた。
 「ああ」
 うん。この距離だよね。この距離で歩こう。一緒に歩いてくれる貴方を、私はこの距離で見つめる。
 寄り掛かるのではなく、膝を抱えるのでもなく。
 自分の足で、貴方と一緒に歩いて行く。
 「ベゼドラ」
 クロスツェルさんと話してたベゼドラさんが、上司殿に不機嫌な顔を向けた。
 そういえばアリア様、さっき……。
 「神殿まで
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