ACT.4 「DAY.2。サーチ&レスキュー」
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「嫉妬で他人を傷つけるな。たしかに芽衣は他の人に持っていない物を持っている。でも、それを憎んで、その人を傷つける奴は人として駄目だ」
藤原は歪んだ顔を下に向け、廊下に向かって走って行った。
藤原の足音が聞こえなくなった瞬間、隣に立っていた芽衣が抱きついてきた。
「お、おいっ!」
恋愛経験が無いせいか、いきなりの出来事に頭が真っ白になる。
「長門…君」
「ど、どうした?」
芽衣は長門の胸に顔を埋めたまま呟いた。
「これ以上、皆に迷惑をかけたくない。私は強くなる」
強がっている様に聞こえたその声も、やはり涙声だった。
………………………………………
日付が19日に変わって20分、つまり第二次捜索を開始してから40分後に目標を発見した。場所はキャンプから3km程離れた鉄筋コンクリート造りの廃工場だった。
「突入チームは新城除く4人で。奴らのいる部屋の電球を真田が狙撃。俺達3人は4つある入り口のどれかから突入するぞ。暗視装置を下ろしとけ」
長門達は廃工場へ向かう道中で作戦会議を行っていた。全員、手にはそれぞれの小銃を持ち、頭には識別帽が、またそれに取り付けられた暗視装置が目の位置に降ろされている。
「見えた。あそこだ」
真田が双眼鏡を見てメンバー全員に伝える。
「もう少し進もう。射程に入らない。400mくらいだ」
駆け足で400mを約2分で駆け抜け、定位置に着いた真田が狙撃体制に移った。
AMP社が法執行機関向けに制作したDSR-1には、バイポッドと呼ばれる安定用の脚が二つある。一つ目は銃の前…マウントレールに取り付けられたバイポッド、二つ目は肩に反動を伝えるストックに内蔵された一脚。位置関係が丁度三角なので、「トライポット」と呼ばれるこの装備は、慎重な狙撃を好む真田にとってとても良い武器だった。
スコープは防衛省技術研究所製の12倍可変スコープ、マズルには発射炎を抑えるマズルサプレッサーを取り付けてある。6連装のマガジンには、非殺傷の軟質プラスチック弾、M50が装備されている。
伏せ撃ちの体制で待機していると、長門から通信がきた。
「真田。12:50に作戦を開始する。一発で貫け。分かったな?」
了解、と返し、スコープを覗く。
視界には青い白い光を放つ電球が一杯に映った。射角の問題から、中の様子は覗けそうに無い。銃自体を少し上にずらし、電球にレティクルの中心線を合わせる。
ボルトを引いて初弾を装填した真田は、先程の言葉を実行するため、神経を尖らせた。
………………………………………
「長門から全員へ。あと20秒で突入開始だ。用意は?」
全員からOKという返事を貰うと、今まで下に向けていた視線を上に上
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