ACT.4 「DAY.2。サーチ&レスキュー」
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てきた。
腰に届くくらい長い髪の毛が特徴的なその女子は芽衣にとってトラウマの人物だった。
「……っん?」
「あらあら、不様ね」
鋭い目線を上から投げかけてくる姿は2年前に見たときと全く変わっていなかった。あの時と。
彼女の名前は藤原 琴音といった。
………………………………………
今の2年生…長門や芽衣が中学3年生だった頃、中学校では非公式のあるイベントが行われていた。
学級で綺麗な女子を1名選出し、校内で誰が一番可愛いか、を競うものだったらしい。芽衣と同じクラスだった長門や真田は仲の良かった芽衣に投票し、その結果クラスの代表は芽衣となった。
その中学は生徒の人数が少なく、1学年2クラスしか無かった。
長門達の1組からは芽衣、隣の2組からは藤原が選出された。
当時の藤原はクラス女子のリーダー的存在であり、いつも5人程度の取り巻きを従えていた。
藤原の実家は大きな印刷業者であり、億単位の利益を出していたらしい。だから親から英才教育を施され、結果自分が上に居ないと気が済まない性格となってしまった。
本戦では1年、2年からも生徒が集まり、合計6人での勝負となった。芽衣は「他の人達には勝てないよ」といつも通りのんびりと語っていた。が、事態は真逆に動いた。
投票から2日後に発表された結果は1位が芽衣だった。2、3位と1、2年生が続き、最後に藤原の名前が載っていた。投票数は芽衣が圧倒的の百桁、2.3.4.5と十数票、藤原に至っては一桁という凄惨たる結果だった。
上の立場に居ないと気が済まない性格の藤原は絶望した。なぜあんな女に負けなければいけない…なぜあんな女の下に男が集まるんだ…なぜだ…どうして…
さらにそれを加速させたのは長門の存在だった。中学1年の頃から想いを寄せていた人が長門だった。高身長、高学力、そしてなにより「自分を守ってくれる武力」を持っている男子だったからだ。しかし、長門の心は藤原など見ていなかった。逆に芽衣には周りから見ていて分かる程心を寄せていた。自分自身そうなっている事に気付いていない長門と、同じくその思いに気付いていない芽衣の組み合わせは滑稽だったが。
なぜ長門があんな女の味方をする。
そんな自問自答の結論は「あいつが居なくなればいい」だった。
藤原は早速行動に出た。取り巻きを使っての流言飛語、放課後に呼び出して放置、さらには教科書や靴を捨てるといった行為や殴る蹴る等の暴力までやり始めた。
………………………………………
「ほら、水飲みなよ」
放課後、藤原の取り巻きの手によって落書きをされた机の上に藤原の手によって置かれたのはプラスチック製のコップだった。絵の具かチョークの粉でも入れたのか中の液体は白く濁っており、た
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