暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
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ったかのように、一瞬前まで確かに誰もいなかった空間から滲み出るように、細身の人影が湧く。

「……八伎か」

はい、と感情が削ぎ落とされたフラットな声に、メガネのブリッジを押し上げるごくごく小さな音が続く。

あえて必要以上のことを話さない、自らの生きた盾は重國が黙ると、それ以上余計なことはしない。それはいっそ道具のようでもあり、対人関係で気の休まることがほとんどない老人にとっては救いになっていた。

「どう思う?」

「どう……とは?」

「言葉の通りじゃよ。君の眼から見て、あの少年がどう見えたか教えてほしい」

打てば返るように、いつも即答のこの男にしては珍しく間があった。

一拍を置いて顔面に傷痕を残す男は口を開く。

「あれはもう()()ですね」

率直に。

直入に。

真っ黒なスーツを着こなす男はそう言った。

「どうしようもなく、もう手遅れなレベルで壊れている。逆に、なぜあなたというお方があんなものに執着しているのかが分かりかねます」

「くっくっ、君にしてはずいぶん攻撃的な批評じゃの。ふん、なるほど。壊れている、か……」

それきり黙りこくった主に対し、八伎は静かに一礼して下がった。それに気付かないように天井の木目の一片だけを凝視し、重國は思考する。

あの少年はとっくに狂っている。

それこそ老人の知ったことではないが、レンがGGO内にてフェイバルにマイの異常性を説かれたのと同じく、シゲクニは遥かSAOの頃から彼の異常性に勘付いていた。

―――いや、異常性というより。

八伎の言葉がまさに当てはまる、壊れている、という表現。それがぴったり合うのだろう。

あの少年の中で、命の定義はあまりにも低く設定されている。それは例えば、人間が野山を掛ける動物達に浮かべるようなものだ。テレビの特集などで取り上げたなら素直にかわいいなどとほざくくせに、道端に死体となって出てきたらどこまでも嫌悪感しか出さない。

小日向蓮も同じだ。アレの中で、敵と仲間、そしてその中間の人々へと扱いの差はいささか度を越して激しい。

「……どうでもいい、か」

彼は、これから本戦で出るだろう死銃の被害者も吟味し、その上でなお言ったのだろう。

そんなヤツらのことなど知ったことか、と。

善悪、などというレベルを超えている。

あの少年の中で、仲間は等しく善であり、敵は等しく悪だ。

だがそれ以外は?

小日向蓮は、ソレに意識を向けない。路傍の石のように、ソレが障害になれば、あるいは暇を持て余したら、躊躇いなく無邪気に蹴り飛ばすだろう。

あの少年にとって、無関係というのは必ずしも無干渉ということにはならない。

あの少年にとって、ソレらはいつで
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