28部分:第二十八章
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で」
まずはそれをするのだという。
「そしてその後で夢の世界でまた」
「それをですか」
「それはどうかしら」
目が妖しく光った。その笑みと共に。
「こうしたことは」
「御願いできるでしょうか」
亜由美の返答はこれであった。
「それで」
「わかったわ。それじゃあ二つの世界でね」
「今まで主人以外は知りませんでした」
亜由美はこのことを告白した。その時にこれまでになく小声で、しかも一瞬周りを見回して今は近くに誰もいないことを確かめてから。そのうえでの告白だった。
「男の人も」
「女は余計になのね」
「ですがこれ程までだったとは」
「この快楽は一度味わえばもう離れることはできないわ」
沙耶香の笑みがさらに妖しく美しいものになる。夜の美しさであった。
「それはわかったわね」
「はい、とても」
真剣な顔で返した亜由美だった。やはり顔は上気したままである。それどころかその上気はさらに高まり止められないまでになっていることがわかるものにさえなっていた。
「ですから。すぐに」
「焦るのね」
「貴女のことを思うとそれだけで」
「わかったわ。それではね」
「はい」
沙耶香のその言葉に頷いた。
「これから朝まで」
「楽しませて下さい」
「あら、私は楽しませないわよ」
沙耶香は今の亜由美の言葉にはこう返したのであった。
「それはね」
「違うのですか?楽しませてくれるのでは」
「楽しむのは貴女だけではないわ」
笑みはさらに妖しいものになっている。その言葉で告げたのである。
「それはね」
「それは」
「私もなのよ。お互いが楽しむものなのよ」
「だからですか」
「わかってくれたわね。それじゃあ」
「はい。それでは」
「行きましょう」
こう言ってである。沙耶香はコーヒーを静かに飲み干し席を立った。亜由美もそれに従う。そうして二の世界で肌と心を重ね合うのであった。
黒魔術師松本沙耶香 天使篇 完
2009・12・23
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