暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
ALO編
第147話 世界の種子
[1/11]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

 束の間、2人は再会を心から祝しあっていた。
 あの世界で築いてきたものを、再び取り戻す事を出来たのだから。この世界で、そして現実で、再会自体は確かに出来ていたが、本当の意味での再会はまだだった。
 この瞬間が、本当の再会なのだ。

 そして、少しして和人は、隼人に聞いていた。

「でも隼人は、何でログアウトをせずに、ここに残ったんだ? 玲奈は……還れたんだろう?」

 その事をだった。
 隼人が全てを思い出している事は、和人にもよく判っていた。あの世界樹に登る為のグランド・クエストの際に、その片鱗は見せ始めていたのだから。あの時から、何処か和人は安心していたのだ。隼人は、キリトの言葉を聴いて笑みを見せると。

「ああ。玲奈は戻れた。……戻れたよ。玲奈を待たせたくないけど、まだ オレはしなきゃいけない事もあるし。……言わなきゃならない事だってあったから」

 隼人はそう答えると、和人の目を見て答えた。

「……和人への帰還報告(デブリーフィング)もそう。ユイにも。そして、この力をくれた、あの男(・・・)に対する礼、それも終わってないから」

 隼人は、穏やかな目だった。
 その告白を聞いて、和人自身も表情が緩む。そして、隼人が言う《あの男》と言うのは誰なのか。それはよく判っていた。

「……そう、だったのか。ドラゴとしての力、能力と言うのは」
「ああ、どうやら随分と贔屓してくれたみたいだよ。……神話で神をも滅ぼすと言われている名、《フェンリル》を寄越すとは、色々と洒落た男だ。どうやら、オレはキリトよりも贔屓目に見られている様だな? この世界では」
「たははは……」

 そう言い、更に頬が緩み、2人とも微笑んだ。


――……そして、その数秒後、ゆっくりと隼人は振り返った。


 和人も同様に、隼人が見ている方へと視線を向ける。


「……そこに、いるんだろう」
「そうだな?……ヒースクリフ」

 2人は暗闇の中、話していても、確かにあの男の存在を感じた。それは2人共にだった。

 その問いの後、暫く静寂があったが彼等の声に、反応。先ほどキリトの中に響いた声と同質のものが場に低く響き渡った。


『久しいな、リュウキ君。キリト君。……もっとも私にとっては――あの日の事も、つい昨日のことの様だよ』


 その声は、先ほどキリトの頭に響いてきた声と同質だが、何処か違う気配もしていた。それは、何処か遠い世界、遥か遠い世界から届いてくる様な気がするのだ。立っている場所が根底から違う、そんな気がした。

「――生きていたのか?」

 その姿を完全に視界に捉えた和人は、短く訊いた。一瞬の沈黙に続いて、答えが還ってくる。

『……そうでもあると言えるし、そうでもないと
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ