暁 〜小説投稿サイト〜
流星のロックマン STARDUST BEGINS
精神の奥底
47 ブリキの心臓
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中ではトップクラスの能力を発揮する彩斗に逃げられるのは痛手だが、ディーラーには大したダメージは無い。
スペアになるロキの子は大勢いたからだ。
しかし状況は変わった。
もはやスペアとなる人間がいないまでの異彩へと彩斗は成長を遂げてしまった。
ハートレスにとっては今までの罪に対する償いのチャンスが訪れたのだった。

「...薬の副作用は無くとも心臓へのダメージは徐々に蓄積されます。これ以上の『H.B.D.』と『W.O.A.』による飼い殺しは危険です。このままではそう遠くないうちにシンクロナイザーの命は燃え尽きてしまう...」
『何が言いたい?』
「あの子はバカではありません。逃げ出しても行き場が無いことは承知しているはずです。ここは治療して正式にディーラーの戦力に組み込むのが良いのでは?」
『それはできんね。治療してしまえば、逃げられた時のリスクが大きい』
「しかしスターダストシステムを使える人間は現状、彼だけです。それにシンクロナイザーの死後もディーラーのコントロール下に置けるかは分かりません」
『...いずれにせよ、答えはノーだ。あと2年で用済みになるモルモットだ。スターダストの力は惜しいが、治癒したシンクロナイザーの逃亡による情報漏洩のリスクも考慮すれば今のままの体制を変える必要はない。君はいつから私に口答えするようになったんだ?』
「...失礼しました」

ハートレスの望みは一蹴りで砕かれた。
今までの計算なら彩斗は今のままで10年は生きられるはずだった。
しかし逆に言えば、10年程度しか生きられない。
それも薬を定期的に射ち続けることでようやく可能となるものだ。
その生き様は、ちょうどゼンマイで動くブリキのおもちゃや機械式の時計さながらだった。
薬というゼンマイを使うことで動く人形、しかしメンテナンスを怠ったそのブリキの心臓を形作る歯車は徐々に磨り減っていき、最後には壊れてしまう。
治療法が見つかり、治せるはずの病に蝕まれていき、刻一刻と彩斗の時間は終わっていく。
ただでさえ夢に溢れる純粋な子供から記憶を奪い、本来あるべき自由な生活を奪っておきながら、大人である自分は何もできない。
もちろんハートレス自身の理想には彩斗の存在が鍵となるものの、せめて抱えている“爆弾”だけは外してあげたかったのだ。
ハートレスは思わず唇を噛んだ。

『他に報告することは?』
「...戦闘から数時間後の血液サンプルを採取し、分析したところ、血中に残留した大量の神経伝達物質が検出されました」
『神経伝達物質?』
「ドーパミン、エンドルフィンの他、アドレナリン、ノルアドレナリン...これだけの量が戦闘後しばらく経ってからでも残留しているとすれば、戦闘中に凄まじい量が分泌されていたことになります」
『脳内麻薬を使ったドーピ
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