暁 〜小説投稿サイト〜
流星のロックマン STARDUST BEGINS
精神の奥底
47 ブリキの心臓
[8/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ついた。

「ここはシンクロナイザーから切り離すのではなく、シンクロナイザーをコントロール下において、ディーラーのそのものの戦力とするのが得策かと」
『そうだな...ところでどうだ?シンクロナイザーの様子は?』
「心配されているのですか?」

『もちろん...あらゆる意味で貴重なサンプルだからな』

「......」

ハートレスは今一度、キングというとこの卑劣さを思い知った。
恵まれない子供たちを支援するという人格者の仮面の下はドス黒い欲望の塊だった。
子供たちには父親のような笑顔を振り撒き、両親のいない子供たちが幼心に求める親の存在を埋めることで信頼を得ていくが、本人には父親の自覚など無い。
手懐け、いずれは自分の欲望のために働いてもらうことだけを期待している。
父親でもなければ、人間ですらない。
一言で言って、「悪魔」という言葉がよく似合う男だった。
ハートレスは電話口に入らないように一度、舌打ちをする。

「現在は眠っていますが、原因不明の高速の治癒能力が肉体そのものに負担を掛けている状態です。しかしそれによる疲労もすぐに回復するでしょう」
『結構だ』

「しかし!...スターダストシステムの多用により『H.B.D.』の症状が加速しています。激しい症状に襲われていたようなので、数分前に薬『W.O.A』を2万単位程投与しました」

『ん?最後に投与したのはいつだ?』
「今朝の8時頃です。通常なら10日に一度の投与で症状を抑えられるはず。激しい戦闘やスターダストシステムによる肉体への干渉が恐らく負担を掛けたのでしょう」
『そうか...ならば今後は投与の期間を短くして、量も再度計算をし直そう』
「......」

ハートレスは不思議と罪悪感に襲われた。
今までディーラーは彩斗にあらゆる薬を投与してきた。
しかしこの薬だけは定期的に幼少期から欠かすこと無く投与し続けてきていた特殊なものだった。
彩斗が心臓に抱えている“爆弾”を抑えるために必要なのだ。
副作用も無く、無条件で一時的に症状を抑えることが可能なもので「H.B.D.」が不治の病とされていた頃に症状を抑えるために生まれたものだった。

『どうした?』

ディーラーが今まで彩斗が外の学校への入学を認めたり、金を与えるなど、他の孤児たちに比べてある程度の自由を与えていたのは、このためだった。
もし彩斗が与えられた金を貯金して、ディーラーから脱走した場合でも、当然捜索は行うが、見つからずとも最悪の場合、自然に命を落としてディーラーの機密が漏れることはないからだ。
仮に体調の異変を感じて病院に駆け込もうとしても、保険証やクレジットカードはディーラーから与えられたものである以上、すぐに足がつくと恐れて使用はしない。
もちろんロキの子の
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ