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流星のロックマン STARDUST BEGINS
精神の奥底
47 ブリキの心臓
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リーはもともと自分の肉親ではなく、後天的に血縁関係ができてしまった相手だ。
それまでは普通の異性として意識してきた相手であり、今となってもそれは抜け切っていなかった。
だがそんな彩斗の心遣いを受けつつも、少し微笑んでメリーは率先して奥の方で横になった。

「メリー?」
「大丈夫です、私の知ってる兄さんはそんな気を起こすような人じゃないです。もし起きても...別に...」
「!?メリー...大丈夫か?」

メリーは次の瞬間にはぐったりと眠ってしまった。
既に先程から何度か眠そうな顔はしていたが、とうとう我慢できなくなったのだろう。
だが正直なところ、彩斗にもメリーを気遣っていられる余裕は無かった。

「あっ...ふぅ...」

彩斗はメリーの前に倒れ込むようにベッドに飛び込んだ。
自分でも今まで感じたことのないくらいの疲労が蓄積していた。
今までなら緊張感から例え眠気や疲労があっても、それを感じることはなかった。
だが今はValkyrieに襲われる心配もなく、明日から学校に行って再び理不尽な暴力を受けることも無い。
ハートレスはともかくアイリスとメリーという味方が側にいてくれる。
それが不思議と彩斗を安心させていた。
しかし次の瞬間、再び胸のあたりに痛みが湧き上がってきた。

「!?うぅ...あぁ!...がぁ...」

今までの中でもかなり強い痛みだ。
思わずシーツを鷲掴みにして、歯も信じられないくらいギリギリと音を立てる。
何か吐きそうな感覚を覚えた。
だが吐いても楽になれそうにもない。
もはや彩斗にはこの痛みの原因を考えるだけの体力も知力も残されていなかった。

「うぅぅ...!?がぁ...あぁ」

苦しい...死ぬ...死にそうだ...!

しかし次の瞬間、今度の首筋にチクリとした痛みを覚えた。

「!?ッ...うぅ...」

そして次の瞬間には全身が楽になり、激しい呼吸を何度か繰り返しながら、彩斗の意識は完全に眠りに落ちた。

「...悪く思わないでね?」

そこにはベッドで横たわる2人を見下ろすようにハートレスが立っていた。
ハートレスの手には今、彩斗に使用した注射器が握られている。
この薬が彩斗の痛みを止めたのだ。

「......」

ハートレスは次に眠った彩斗の腕から再び少量の血を採取する。
そしてそのまま部屋の押入れの中のエレベーターに飛び乗った。
エレベーターはリビング同様に地下のガレージに通じている。
急速にエレベーターで落下しながら、ハートレスはポケットからiPhoneを取り出して発信ボタンをタップした。

「...私です、キング」
『ジョーカープログラムのことはよくやってくれた。感謝の言葉もない』
「学校を占拠したValkyr
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