精神の奥底
47 ブリキの心臓
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活してきたメリーは普通の人間であるということを味わうことができると期待を膨らませている。
だが反面、彩斗は不安を覚えていた。
このデンサンシティはまだ安全とはいえない。
ひったくりや通り魔など珍しくはない。
そんな犯罪が溢れる街にメリーを放ってしまっていいのだろうかという気持ちがあった。
「......」
彩斗は街の中でも比較的安全なルートを考えて始めている。
そして不安なことはもう1つあった。
クォーツの時計というのは生産コストが抑えられ、しかも正確という利点がある反面、電子回路をしようしており、回路がやられていればアウトだ。
それに通常使用で不具合が無くても、電子回路である以上は寿命がいずれは訪れる。
良くも悪くも寿命は短い。
修理できない可能性が比較的高いのだ。
ため息をつきながら、もう一度、シーマスターを確認した。
その点、機械式は精度はクロノメーター検定に通ったものでもクォーツには到底及ばず、ゼンマイが巻き上げられなければ2日程度で止まってしまう上、メンテナンス代も高い。
しかし歯車など磨り減ったり、壊れるパーツはある程度決まっており、それをちゃんと交換して手入れをすれば、クォーツに比べてかなり長い期間使用することが可能となる。
そしてデメリットであってもゼンマイを巻いたり、手を加えなければ止まる生き物のような部分に愛着を持つ者もこのスマートウォッチが流行する現代でも少なくない。
「そういえば、君はどこで寝る?」
「あっ」
「大丈夫。これだけ広い家なんだ。空き部屋の1つや2つ...」
「......ん」
メリーはなにか物欲しそうな顔を浮かべていた。
その内容はシンクロが使えずとも何となく想像がつく。
「...一緒に寝ようか?」
「...ハイ」
メリーはまだValkyrieに捕まった時の恐怖が抜け切っていないのだ。
彩斗はそれを考慮せずに部屋を探そうと言ったことを反省する。
ゆっくりとメリーを連れてリビングを出ると階段を登って4階の部屋へと向かう。
彩斗もこの家での生活は1日目で詳しい構造は分かっていない。
だが迷うことはなかった。
その部屋は他の部屋には無い特徴があるからだ。
「案の定、ドアはそのままか...」
残留したスターダストの力で彩斗が破壊してしまったドアが部屋の前の廊下に横たわっていた。
ハートレスかアイリスのどちらかが修理しようとしたようで、ガムテープの残骸と修理用の工具箱が置かれている。
2人はドアを踏まないように部屋の中に入ると、すぐさまベッドに入る。
「君は手前に寝るんだ。僕は奥、壁側に寝る」
「...兄さんが変な気を起こしちゃったら、後ろが壁じゃ私、逃げられないですからね...」
彩斗は顔を赤らめて目を逸らした。
メ
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