精神の奥底
47 ブリキの心臓
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して一度、深呼吸をする。
「じゃあ、私はお風呂に...サイトくん、無理はしないでね?何かあったらすぐに呼んで」
「うん、ありがとう」
アイリスは心配そうな顔を浮かべながら、リビングを後にした。
彩斗も今までこの痛みを感じた時の状況に共通点が無いかを考えようとした。
だがすぐに集中力が切れてしまう。
「あまり無理しない方がいいですよ?」
「え?」
「ハートレスに聞きました。兄さんの身体の回復スピードが異様に早いってこと。確かに回復が早いのはいいことかもしれない。でも回復を早めるっていうことは身体のサイクルを早めるっていうことで...結局は身体に負担を掛けているはずだって」
「...ハートレスがそんなことを?」
「多分...あの人も兄さんが...サイトさんが心配なんですよ」
「どうだか?」
自分でも感じていたことだが、自分たちに今まで冷たく接してきたハートレスがそんな心配をしているとするとは、にわかに信じられない。
彩斗は何処か嬉しそうな顔を浮かべながら、時間を確認した。
「そろそろ寝ようか」
「あっ、もうこんな時間...」
立ち上がり、メリーの飲んだジンジャーエールのコップと自分のオロナミンの瓶をキッチンの方へ片付ける。
そしてテーブルの上のエコドライブと腕のシーマスターを比べた。
先程よりもズレが広がっていた。
正確さが「売り」のクォーツムーブメントを搭載したエコドライブが機械式のシーマスターよりも精度が低いということは故障以外考えられない。
「ズレが広がっている」
「調子悪いんですか?」
「うん...」
彩斗はメリーに返事しながら、エコドライブを再びテーブルの上に置き、久しぶりに着けたシーマスターの使い方を確認する。
ダイバーズベゼルを回し、0時位置の畜光クリスタルパーツを10時位置に動かす。
そしてヘリウムエスケープバルブを一度、ボールペンのノック部のように押して引き抜いた。
特定の手順を踏むと、先端部に即効性の麻酔針が仕掛けられたバルブが脱着できるようになっていたのだ。
ディーラーの一部の人間に支給されるシーマスターには何かしらの仕掛けが施されている。
彩斗は一般の学校に通う都合上、ディーラーと敵対する者による誘拐などのリスクが伴っていたために支給されていた。
それを確認して彩斗はバルブを再び、戻してベゼルを0時位置に戻す。
「さっき君が眠っている時、気づいたんだけど。明日、これを修理してもらおうと思う。アイリスちゃんも連れて3人で出かけよう」
「ハイ!」
久しぶりの外出にメリーは素直に喜んだ顔を見せた。
いつもトランサーやパソコンの中にいることの多いメリーは、現実空間で外出することは珍しかった。
今まで自分を人間でありながら、ネットナビとして生
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