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逆さの砂時計
忘却のレチタティーボ 4
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 スイ……、私のせいで……死んだ……!?



「違う! ステラ!」
「う、あ……あ…… っうあぁああああああああッ!!」

 室長じゃない。
 室長じゃない!

 スイを殺した!
 この人が!

 私のスイを!
 殺した!!

「よくも、スイを……! スイを……私の友達を返してぇええ!!」

 解放された体が動く。
 メアリ様に握らされた、細長い闇色の剣を、全力で振り回す。

 剣なんて持ったこともないし、使い方なんて知らない。
 でも、この男の人は赦せない。

 あの子はただ、傍に居てくれただけなのに。
 スイはずっと、私に寄り添ってくれてただけなのに!

「あの子が何をしたっていうの! どうして殺されなきゃいけないのよ!! 私……っ、私なんかのせいで……っ!」
「ステラ、それは違……っ」
「せっかく取り戻したその実体も、大切な契約者が相手ではまるで使い物になりませんわね? ルグレット?」
「黙れ!」

 巻き毛の女性が愉しそうに笑う。
 男の人が後ずさるように逃げ回る。
 私は両手で握った剣を闇雲に振り回す。
 旧教会の扉の前に積まれた白百合を、剣の切っ先が派手に散らした。

「私が生きてるのに! 汚い醜い役に立たない私なんかを生かしておいて、どうして! どうしてスイを殺したのよぉおおお!!」
「ステラ……ッ」

 どん と手応えを感じた。
 闇色の剣が、男の人の腹部を貫いてる。
 私を腕の中に閉じ込めた男の人が、苦しそうに、呻いた。

「イヤ! 離して! はな……っ」
「思い出せ、ステラ。何故、自分を空っぽだと、思うように、なったのか」

 男の人が口の端から血を流した。
 小さい頃の私を組み敷いている凶悪な顔が、目の前で、苦悶に歪む。

「悪魔である俺を、呆れ させるほど、毎日……ここに来て……本当は……何を、願って……、いたの、か……」
「やっ……」

 汚い顔が近寄ってくる。
 逃げたいのに、がっしり抱えられて動けない。

 イヤだ!

「離して! 私に触らないでぇえ!」
「……俺の、記憶を ……君、に……」

 唇に軽く触れるだけの、生臭い、血の口付け。

「…………っ!?」

 頭の中を占めていた映像が切り替わる。
 小さい頃の私を虐げる男の人達が姿を消した。
 体を苛む感覚も消えて、私は男の人と一緒に膝を落とす。

 新しい光景……これは、この教会がまだ、現役として使用されていた頃?
 数人の信徒が敷地に出入りする様子を、屋根の上から見下ろしてる。

 誰かの視点なの?
 私の意思とは関係なく、ぼんやりと、ゆっくり街並みを巡る視界。

「お父さんはねえ、機嫌が悪いと、すぐにお母さ
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