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ソードアート・オンライン〜Another story〜
ALO編
第146話 2人の勇者
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言うのに、この時、安堵感ではなく、えも知れぬ恐怖を感じた。

 あの時(・・・)もそうだったから。

 最後の最後まで、この温もりを感じながら、目を瞑った。あの世界へと還れる、大切な人達と、愛する人達と一緒に還る事が出来る。すぐには無理かもしれないけれど、きっとまた向こうで会える。

 だからこそ、玲奈はあの時涙を流しながらも、笑顔で、皆で、約束を交わしながら、目を閉じたのだ。だけど、待っていたのは《絶望》だった。

 愛する人達がいなくなる、と言う。

「大丈夫、だよ」

 隼人は、そんな玲奈の心境を察し、優しくそう微笑み返した。

「ほん……とう? ちゃんと、会えてる? はやと君と、みんなと、ほんとにあえる?」

 涙で覆われた彼女の顔、桜色の唇が僅かに開いた口元。それは温もりを、安心を求めていた。
 隼人は、安心出来る様に、その桜の唇を自らの唇で塞いだ。

 それは誓いのキス。

 決して破らない。もう、二度と破らない。隼人は、すっと唇を離した。そして、後悔の色が彩る顔を向ける。

「信用……してくれって言いたい。でも、俺は……一度っ」
「んっ」

 最後まで、玲奈は言わせずに、今度は自分から隼人の唇を、薄らと赤みが掛かった唇にそっと押し当てた。

 だって、玲奈は知っているから。

 隼人はどんな時も、全力で全力で応えてくれるんだ。どんな時も諦めずに頑張りぬいてくれる。なのに、それなのに、自分ばかり子供の様に駄々をこねる訳にはいかない。

 辛かったのは、苦しかったのは、悲しかったのは……、隼人も同じなんだから。だから 命の限り信じないといけない。

「私は、隼人君を信じてる。これまでも、ずっと。……これからもずっと」

 この時、流れ出ていた玲奈の涙は、もう止まっていた。今あるのは目に溜まった涙だけだ。にこりと笑った瞬間、その涙は粒子状に空中に舞い上がっていた。

「だから、早く……早く、会おうね」
「ああ。必ず会いに行く。必ず……」

 隼人は、そう強く宣言した。玲奈は、笑顔で頷いた。

 隼人は、システムウインドウを開いた。この世界のシステムコアは、あの時は否定する様に言ったが、やはりコピーとは言え盗んだとは言え、ベースはあの男、茅場が設計したものだ。それを覆すのは本来は、それ相応の時間が必要となるが。

「さぁ……待っていてくれ」

 隼人は、ウインドウを開いた後、数秒で玲奈を拘束する深層域に存在する複雑な転送関連の場所へとたどり着いていた。

「うんっ。……っ!」
 
 玲奈は、少し慌てた様に、隼人の指をつかんだ。慌てていたが、言葉はしっかりとしていた。

「お、お姉ちゃんは!? わ、私 色々有り過ぎてて お姉ちゃんを……」

 
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