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ソードアート・オンライン〜Another story〜
ALO編
第146話 2人の勇者
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ない。涙を目に溜めながら、アスナは頷いた。

 これは偶然、なのだろうか?

 上空に撮された妹の姿。彼女も自分と同じ表情をしていた。姉妹だから、よく判る。

 向こうでも、もう大丈夫なんだ。

 その間キリトは、伝説の武器《エクスキャリバー》をこの場に呼び寄せ須郷に放り投げる。

 そう、これこそがチートと言うものだ。なんの苦労も無く伝説の最強の武器を召喚。正直不快感を拭えない。そして、《あの眼》とは比べたりしてはいけないものだ。幾年月、年月をかけて育まれ、培われてきた力なのだから。皆を守る為に、精神を削りながら使っていた力なんだから。
 こんな不正と一緒にしてはいけない。

「決着をつける時だ。泥棒の王と、メッキの、偽物の勇者の……! システムコマンド、疑似痛覚機能をレベルゼロに!」
「な、なに……?」

 仮想の痛みを無制限に引き上げるコマンドを聞き、須郷の頬に動揺の色が走った。一歩、一歩歩くことで生じる筋肉に軋みですら忠実に再現している。この痛みの機能を生み出したのは、あの男だ。この世界で、復讐をする為に、現実を限りなく模写して作った狂気のシステム。それが自分に向けられている今、思わず後ずさってしまう須郷。

「逃げるなよ。あの男はどんな場面でも臆したことはなかったぞ。あの、茅場晶彦は!」
「か、かや……!?」

 その名前を聞いたとたん、須郷の顔がひときわ大きく歪んだ。

「茅場っ!! そうか、そのIDは!! アンタか! またアンタが邪魔するのか!! なんで死んでまで、僕の邪魔をするんだよ!! アンタはいつもそうだ!! 僕の欲しいものを端からさらって!!」
「須郷、お前のその気持ち、オレにも判るさ。オレ達はアイツに負けてるからな。――でも、アイツを超えたいと思っても、アイツになりたい、と思ったことはないぜ。お前と違ってな!!」
「この、このガキがぁぁぁ!!」

 須郷は、裏返った悲鳴と共に、その黄金剣を振った。まるで、重みのない一撃。もし、これをアイツが受けていたとしたら?嘲笑するだろう。滑稽だと。だけど、この男だけは、オレ自身で決着をつけなければならない。不意に、視線を上へと向けた。

 別の空間での戦いを見た。

 そう、あの男こそが真の英雄、勇者。ずっと這いつくばっている筈が無い。リュウキも剣を取り、相手を見据えていた。真の勇者に相応しいオーラと共に。


 キリトは、ニヤリと笑うと、右手の巨剣で軽く弾き返す。そして、すれ違いざまに須郷の右頬に剣先を掠めた。


「アツッ!! い、イタァァァ!!」


 目を丸めて悲鳴をあげるその姿を見て、一瞬出た安堵は再び息を潜め、再び怒りの炎が身の内を焼く。この男は、二ヶ月もの間、アスナを虐げ続けた。姉の帰りをずっとずっと、待
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