暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
ALO編
第145話 もう1つの闇
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切ない白い板の上を、走り続けた。

 その白い壁、白い通路の先に幾つかの扉があった。ここだろうか?と高鳴る鼓動を必死に抑えるキリト。だが、キリトが思っていた場所ではなく、何もない場所で、ユイはピタリと止まった。

「この向こうです。……この向こうが」

 そう言い、ユイは手を翳した。その小さな手のひらが壁に触れた瞬間、ゲートの様にブンっと音をたてながら円形状に壁が消滅した。

 その先には……。

「―――っ!!」

 その先には……今まさに沈みつつある巨大な太陽が見えた。世界を包んでいるその無限の夕焼け空。それが殆ど真正面に見えている。そこから紡ぎ出されるのは、この場所が相当高くに設計されている場所だと言う事。これ程の高度から太陽を眺めたことは……。

「そう……だ」

 眺めたことは、あった。

 あの世界の終演。
 あの朱い空の下。

 そう思った瞬間、あの世界での約束が頭の中に過ぎった。

『……やくそく……必ずまた、みんなで会おう。きっと、向こうでも』

 世界の終焉の間近で、確かに約束したその言葉。まだ、半分も叶えられていない。果たせていない。

『ああ、……だから、オレはここに来たんだ。皆とのやくそくを果たす為に』

 キリトは、そう呟き先へと進んだ。その場所は世界樹の木の枝。それも恐ろしく太い枝。この世界の頂。

「……スグが追い求めた場所、でもあるな」

 不意にキリトはそう思った。夢見た世界樹の頂。だが、その場所には何もない。彼女が言っていた空中都市なんてものは何処にもない。

『あの上に来て欲しくないからだろう』

 リュウキも言っていた。来て欲しくないからこそ、あのクエストに理不尽と言っていい程の難易度設定をした。

 全ては中身のないギフトボックスだったと言う事だ。

――……永遠にこの空の上を自由に飛べる。

 そんな飾りを立てて、豪華に仕上げたギフトボックス。だが、いざ開いて見れば、そこには、その内側には何もない。空疎な嘘のみだった。

「……赦されることじゃないぞ。こんなのは」

 人は、たかがゲームだ、と言うだろう。だが、そのゲームの為に費やした時間と金、情熱は無限じゃない。如何なるものにも変えられないものだ。

「来て欲しくない。と言う事はこの上で一体何をしている、と言うんだ?」

 キリトはそうも思っていた。リュウキが言ったあの言葉。意味深に言っていた。多分、リュウキはこの上で何が行われているのか、判っていたのかもしれない。そして、話さなかったのは……、その内容が安易に話せる様な事じゃなかったのだろう。

 そんな時だ。

 ユイがキリトの右手を軽く引っ張った。気遣わしそうな顔でキリトを見ている。キリトは、ユイに
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