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ソードアート・オンライン〜Another story〜
ALO編
第144話 因縁に決着を
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ベルだ。……あのカーディナルを超える代物。……あの世界をクリアする事でしか脱出する事が出来なかったお前では絶対に抜ける事は出来ないし、改変する事も不可能だ」

 剣を向けながらそう言う。己の力を過信している者の眼は何時もそうだ。……自分自身が絶対だと思っている男こそは。

「そして、疑似痛覚。ペインアブソーバーのレベルもイカス値に変えてある。じわじわと嬲ってやる」

 そう言い切った後に、沈黙していた隼人が口を開いた。

「……御託はいい」

 隼人はそう切り捨てる。そして、自身の剣を右手で構えた。

「決着を付けよう。……全ての因縁に」

 ギラリと銀の輝きを発する剣の切っ先を狭山に向け、そういった。言葉は狭山よりも遥かに少ない。その事が狭山の癇に障る。自分よりも遥かに歳下の子供に言われたのだから。

「舐めるな!! 糞餓鬼がぁ!!」

 癇癪を起こし、遮二無二に突っ込んでいく。そこには、センスの欠片もない。どちらが子供なのだろうか?とも思える。……が、狭山のその顔にはまだ何処かに余裕も視えた。まだ、何かがあるかの様に。

 隼人は、最小限の動きで、刃を掻い潜り……すれ違いざまに首筋に刃を当てた。

「が……っ!!!??」

 首筋の鈍い痛みを感じながら、狭山は目を見開いた。有り得ない、と言わんばかりの表情。

「ば、馬鹿な、な、なんだ、こ、こ、この痛み、は……! お、オレの……アバター、は……っ!!??」

 身体の芯にまで響く痛覚。例えて言うならば、痛覚神経を直接 弦にし、鋼の棹で弾かれているかの様な、痛み。ギコギコ……とゆっくりと、抉るように。

「システムに守られている筈、か?」

 ゆっくりとした動きで、隼人は振り返った。狭山はあまりの痛みに、足が、手が、身体が震えている。

「……ここがあの世界を、カーディナルを超えてる、だと?」

 剣を振りながらゆっくりと歩く隼人。

「お前達は、あそこにいた人達だけじゃなく、あの世界を盗んだんだ。……あの男が作ったあの世界は、もっと緻密で、もっと繊細で、もっと複雑」

 1つ1つの言葉から、あの世界の光景が鮮明に浮かび上がっていた。

「そして……!!」
「し、し、死ね!!!!!」

 隼人が間合いを詰めたところで、出鱈目に振るった狭山の剣が、隼人に袈裟斬りした。隼人の身体に斜めの赤いラインが出来る。

「け、けひゃっ! て、てめぇも痛がり……や……?」

 極限の痛みの最中、確かな手応えを感じる事が出来た狭山は必死に余裕を取り戻そうとした。小悪党とは決まって相手が弱みをみせればどれだけの傷を負っていても、元気を取り戻す。……だが。

「っ……ぁ?」

 隼人は、毅然とその場に立っていた。狭山よりも、
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