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ソードアート・オンライン〜Another story〜
ALO編
第144話 因縁に決着を
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寒を感じていた。凄まじい凶兆を孕んだかの様な悪寒が……。
そして、背中からまるで刃で突き刺されたかの様な、斬られたかの様な感覚に見舞われる。
「っ!!!」
思わず、その場から飛び退く様に下がった。そこには……あの男が立っていた。
この重力下において、立ち上がる事など有り得ない。通常の地球規模で言う重力の10倍もの負荷がかかっている筈だから。
「………」
まるで、普通に起き上がる様に、何事も無かったかのように、そこに立っていた。
「おやおや、重力の効きが悪かった……かぁ!?」
狭山が手を翻した瞬間。辺りの重圧が更に一段階……いや無限に増していく感じがした。それは、見るだけで判る。……重圧のラインが、可視化されて見える程までになっていたのだから。それは、押し付けられている空気さえも見える。隼人を中心に、半径がどれだけに及ぼうか……目測では判らない程、領域を広げていっていた。
「この世界のオレは重力の支配者。何人たりとも俺の前では跪く。立ち上がる事すら叶わない。」
ずしぃぃ!! みしみしみしっ……!!!
この空間には何もない。無の空間だ。なのに、よく判る。……今、この場の重力が変わった。ついさっきより遥かに重いものに。
「……はや……っ ……くんっ」
玲奈自身には、重力はかけられてはいない。なのに、それなのに、指一本動かす事すら出来ない。声すら、封じられているみたいに、出せない。
あまりの重力下の中、空間すら歪んで見える。
歪んでいるからこそ、彼の姿さえも見えなくなっていく。本当に圧倒的な力だった。
管理者の力。……理不尽な力。
――……はやと……くんっ……。
ただ、玲奈はそんな中でも彼を想い続けた。相手がたとえ神だったとしても、異常な力の持ち主だったとしても。恐れず、彼を想い続けた。涙を、流しながら……。
そんな玲奈を背に、狭山は両手を広げながら歩く。
「どうした?」
薄く笑いを上げながらゆっくりと、震源地へと歩く。そして、今の彼を目視しようと覗き込んだ。
「……この世界はお前の土俵、なんだ……ろ……?」
悠々とこの高重力下の中ただ1人だけ、動けると力を誇示する様に歩いていた狭山、グラビドンの表情が一変した。
『……重力の支配者?』
この高重力の中心に、異様な光景が広がっていた。沈みゆく無の大地。その中で、1つだけ沈まない、屈さない者がいた。
『……何人たりとも?』
このどんな者でも、それこそ巨大モンスターや邪神級のモンスターだろうとも動けず、立つ事すら出来ないであろう場に両の足で立ち。狭山を、見据えていた。
――……狭山を見据えるその眼は赤く染まっている
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