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ソードアート・オンライン〜Another story〜
ALO編
第144話 因縁に決着を
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して、その願いを断ち切り、絶望と恐怖の中で殺す。それが最大の愉悦だったんだが。肝心の餓鬼の方がこの様子じゃあ、楽しみが減ったと言うもんだ」

 リュウキの頭を思い切り踏みつけながらそう言う狭山。……玲奈を見た瞬間から、リュウキの時は止まったままなのだ。

「っ……!!」
「ふふふ、戯れにオレのプランを教えてやろうか?」

 狭山は涙を流す玲奈にそう言う。玲奈は何も答えなかったが、YES、NOどちらを選ぼうが喋るつもりだったようだ。

「まず、私はこの餓鬼の能力は知っているつもりだ。忌々しいが、コンピュータにおいてはこの世界でも1,2を争う程の能力を持っている。……そんな相手を決して有利にもっていけるかどうか判らないデジタル・データの塊である仮想世界に呼び寄せた理由が、コレだ」

 指を鳴らした瞬間、玲奈の前にあの少女が現れた。……玲奈は一体誰なのか?と思った。だが、何処かでは判っていた。この最悪な男が取る手段を判っていたんだ。

「ご紹介しよう。この世界ではMobの様なものだが、現実ではあの餓鬼にとって重要な意味を持つ少女。……現実世界では、HN《サニー》と名乗っていた少女だ」

 両肩を持ち、そう紹介する狭山。


《サニー》


 彼にとってのかけがえのない少女。……彼が守れなかったと、10年経っても悔やみ続けていた少女。好きと言うベクトルが初めて当てられた異性だった。


「まぁ、アイツが君に言ったかどうかは知らんがね。……とあるアイツの仕事仲間、と言っていいだろう。お前が聞いた研究の骨組みを手がけた者達の1人だよ。……餓鬼の癖に、正義、良心に酔って、……研究の邪魔をした餓鬼の1人だ」

 そう説明する内に、ぎりっ……と両の肩に入る力が増した様だ。だが、少女は眉一つ動かす事はなかった。ここにいるのは、少女の姿を、声を象った人形……だからだ。

「そして、ここに誘った時、あの時の光景を再現した。……この世界の背景を変更した。……そして様々なオブジェクトも設置した。すべてはあの時のあの場所を再現するために、な? ここまで言えば、もう大体分かるんじゃないか? ……私が手掛けたプランが、その全容が」

 ニヤリと笑いながらそう言う狭山。……玲奈も、目を見開いていた。この男の考えが判ったから。

 そう、この男は……この悪魔は、嘗ての彼の記憶を。……意図的に彼の心的外傷を揺り起こしたんだ。彼の体験は、幼い少年には耐えられるものではない、……酷すぎる体験だから。心的外傷後ストレス障害になっても、おかしくない程に。

 この世界の頂点、たどり着いた頂き、たどり着いた世界樹の上に、嘗て自分が居た場所がある等と、誰が想像付くだろうか?予知能力でも使える超能力者でもない限り、そんなのは不可能だ。


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