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ソードアート・オンライン〜Another story〜
ALO編
第143話 闇との邂逅・開かれた記憶
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「口の利き方に気を付けろ、糞餓鬼がぁ!」

 動けないリュウキに、2度、3度と蹴り喜々と見舞う狭山。動けず、そのまま腹を押さえて蹲るリュウキ。なぜ、動けないのだろうか? ここは、現実世界ではなく、仮想世界。デジタル・データの世界。自分自身の土俵だ。

 なのに、動けない。……身体が震えて動けない。

「多少頭は切れる様だ。能力もそう。……が、所詮お前は何も出来ない糞餓鬼なんだよ。これまでも、そしてこれからもな?……この餓鬼がいい例じゃねえか」

 そう言って、指をさした。その先には、彼女がいた。目を瞑り、立ち尽くしている。命令があるまで動けない人形の様に……。

「全部救える気になっていた餓鬼だ。あの時も綺堂のヤツがいなけりゃ何も出来なかった。今も昔も、お前はただ無力な餓鬼だ。何一つ救えない。……見てみろ」

 手を翳した瞬間、この世界の地面、無の世界が再び開きある場所を映し出した。この場所に負けない程、どろりと濃い闇の中。その場所には3人の人物がいた。1人は、鎖で拘束された女性、そしてもう1人は、剣を突き立てられ、動けず貼り付けられた男。そして最後に、もう1人。

「くくく、須郷の方も随分と楽しんでる様だ。……あんな女の何処が良いのか判らんがね」

 眺めながら笑みを浮かべる狭山。

「キリ……と」
「そうそう、キリトと言う名だったな。そしてあの女がアスナだったか」

 ニヤニヤと笑いながらそう言う狭山。そして、リュウキに顔を近づけ。

「お前が潰してくれたあの研究。お前自身が作ったと言っていい研究……。須郷にチラつかせたら喜んで飛びついたよ。何でも同じ様な研究をしていたが、実用段階には程遠かった様だからな?……ああ、研究のアレだが、貴様が攻撃したメインサーバーの全てを根こそぎ壊されたが、残っていたモノもあってね。……だから、出来たんだよ。こんなに早く」
「キサ……がっ!!」

 その掴みかかろうとした瞬間、凄まじい重力がリュウキに覆いかぶさった。それはまるで、巨大な岩を押し付けられているかのように。だが、そのまま潰れる事は出来ない。痛みを最大限に感じたまま、意識を保つ絶妙な力加減で。

「そして、これが重力魔法。デザインしたのはオレだ。……他人を屈服させるのにこれ程良い魔法は無いだろ?」

 得意げな顔で、そう言う狭山。

「ほら、あのガキの自由を奪ってるのもオレの魔法だ。まぁ、剣で磔刑ている事もあるがな」
「……っぁ」

 目を背けたくなる光景だ。あそこで苦しんでいるキリト、そして……アスナと言う少女。

「アス……ナ……?」

 状況は最悪な中で、記憶の扉が再び開きつつあった。あの少女はそう……、あの世界でキリトと想いを交わしあった間柄だった。



――…
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