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珠瀬鎮守府
響ノ章
伝えられた言葉
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 最期? あれを見た時、私は何が起こっているかはじめ理解できなかった。柏木提督が撃ち殺されるその間際は……。
「嗚呼、嗚呼」
 私は、それに気づいた。
 嗚呼、何故私はあの時、その遺言を後悔の類だと思ってしまったのだろうか。侮辱も甚だしい。彼は後悔していなかった。憤怒も悲哀も感じてはいなかった。ただ、戦っている者に、言葉を投げただけに過ぎない。
「笑って、いた」
 そう、今際の際、柏木提督は笑っていた。
「お前たちは何故戦う」
 白木提督が最上にそう尋ねる。
「守るため……この港にいる皆を守るため」
 最上の言葉に、白木提督は頷いた。
「げにその通りだったんだろう、あの日、戦っていた柏木も」
 あの日、柏木提督もまた、艦娘のように戦場に立った。そうして、艦娘のように望んだのだ。この鎮守府にいる皆が、生き伸びれるようにと。そうしてそれを実現するために戦艦と戦った。彼はあの日、守るべき人ではなく、守る戦士だったのだ。
 だからこそ笑えた。彼はその望みを叶えたのだから。
「最上、お前は柏木の望みを叶える手伝いをしたんだ。誇れ。お前のお陰で、柏木の守りたかったものがここにある」
 その言葉に、涙を流したのは、最上だけではなかった。
「最上、響、一旦離れていろ。鳳翔、頼んだ」
 止まらぬ涙を流し続ける私と最上を鳳翔さんは少し離れた場所へと移動させて、胸へと抱き寄せた。
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