忘却のレチタティーボ 3
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!?」
室長が椅子に座ったまま机をドンッと叩く。
びっくりした……。今までこんな事、一度だってしなかったのに。怒鳴られるような訊き方だった、今の?
「……頼む。従ってくれ」
頼む……って言われても……。どうしたら良いんだろ、これ。
仕事の域を越えて干渉されるなんて気分悪いんだけど。しかもこんなやり方で。
上司権限で休暇中の外出まで制限されるとか異常でしょ、どう考えても。
公私混同じゃないの? 私が職場に居ちゃいけない何かでもある訳? 外出したら問題あるって言うの?
私はそんなに目障り!?
「……っ邪魔なら邪魔と! 率直に言ってくれたほうがまだマシなんですよ! 室長のバカ!!」
あーったま来たーっ!! 休みをくれるってんなら休んでやろうじゃないか! 今日から一週間と一日、お望み通り目の前から消えてやるわよ!!
「ステラ!」
「今からお休みを頂きます。給料は無くて結構! ちゃんと家で大人しくしてますから、どうぞその間、私の存在は忘れてください!」
「待て、家まで……」
「送らなくて良いです! 室長は今からお仕事でしょ。二人分頑張ってくださいね!」
荷物を持って管理室を出る。
あーっ! いっそ辞職すれば良かった! こんな扱いされるくらいなら家を売って実家に帰って、お父さんお母さんに馬鹿にされたほうがよっぽど良いわよ!
それはそれで絶望的な気分に陥りそうだけど!
「……っと?」
あ。俯いて歩いてた所為で、開館したばかりの総合入り口でお客様と激突してしまった。
いかん。
「すみません、お客様。お怪我はありませんか?」
肩がぶつかった程度で怪我するとは思えないけど、一応ね。
「あー。全然?」
おお……今度は真っ黒な人だ。目だけ赤い。
って、此処、結構北寄りの地域なんだけど。コートを羽織ってるとはいえ、上半身裸で寒くないのか。
「離れろ、ステラ!」
へ?
「室長……っ?」
お、追い掛けて来てたんですかーって、
なんで背中に庇われてるんですかね? 何事?
「お前……ルグレット?」
黒い人がちょっと驚いて室長を見てる。
あれ、知り合い?
「……ベゼドラか」
知り合いなのね。
え、じゃあ、なんでそんなに恐い顔で睨んでるの?
「ふぅん? 実体持ちは初めてだな」
「話す事は無い。用事が済んだらとっとと街から出て行け!」
「言われるまでもない……が、こっちには事情があってな。この際だ。後でちょっと来い。その人間……」
「っ! 分かった。彼女には手を出すな」
後ろ手に引き寄せられて動けません。逃げるなって意味ですか?
もう、本当に、何がどうなってるの?
「……来い、ステラ」
「! だから、室長は仕事」
「来る
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