暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
忘却のレチタティーボ 3
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
!?」
 室長が椅子に座ったまま机をドンッと叩く。
 びっくりした……。今までこんな事、一度だってしなかったのに。怒鳴られるような訊き方だった、今の?
 「……頼む。従ってくれ」
 頼む……って言われても……。どうしたら良いんだろ、これ。
 仕事の域を越えて干渉されるなんて気分悪いんだけど。しかもこんなやり方で。
 上司権限で休暇中の外出まで制限されるとか異常でしょ、どう考えても。
 公私混同じゃないの? 私が職場に居ちゃいけない何かでもある訳? 外出したら問題あるって言うの?
 私はそんなに目障り!?
 「……っ邪魔なら邪魔と! 率直に言ってくれたほうがまだマシなんですよ! 室長のバカ!!」
 あーったま来たーっ!! 休みをくれるってんなら休んでやろうじゃないか! 今日から一週間と一日、お望み通り目の前から消えてやるわよ!!
 「ステラ!」
 「今からお休みを頂きます。給料は無くて結構! ちゃんと家で大人しくしてますから、どうぞその間、私の存在は忘れてください!」
 「待て、家まで……」
 「送らなくて良いです! 室長は今からお仕事でしょ。二人分頑張ってくださいね!」
 荷物を持って管理室を出る。
 あーっ! いっそ辞職すれば良かった! こんな扱いされるくらいなら家を売って実家に帰って、お父さんお母さんに馬鹿にされたほうがよっぽど良いわよ!
 それはそれで絶望的な気分に陥りそうだけど!
 「……っと?」
 あ。俯いて歩いてた所為で、開館したばかりの総合入り口でお客様と激突してしまった。
 いかん。
 「すみません、お客様。お怪我はありませんか?」
 肩がぶつかった程度で怪我するとは思えないけど、一応ね。
 「あー。全然?」
 おお……今度は真っ黒な人だ。目だけ赤い。
 って、此処、結構北寄りの地域なんだけど。コートを羽織ってるとはいえ、上半身裸で寒くないのか。
 「離れろ、ステラ!」
 へ?
 「室長……っ?」
 お、追い掛けて来てたんですかーって、
 なんで背中に庇われてるんですかね? 何事?
 「お前……ルグレット?」
 黒い人がちょっと驚いて室長を見てる。
 あれ、知り合い?
 「……ベゼドラか」
 知り合いなのね。
 え、じゃあ、なんでそんなに恐い顔で睨んでるの?
 「ふぅん? 実体持ちは初めてだな」
 「話す事は無い。用事が済んだらとっとと街から出て行け!」
 「言われるまでもない……が、こっちには事情があってな。この際だ。後でちょっと来い。その人間……」
 「っ! 分かった。彼女には手を出すな」
 後ろ手に引き寄せられて動けません。逃げるなって意味ですか?
 もう、本当に、何がどうなってるの?
 「……来い、ステラ」
 「! だから、室長は仕事」
 「来る
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ