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逆さの砂時計
忘却のレチタティーボ 2
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り乱暴に掴んだ。
 管理室の扉を開いて、ポイッと放り込まれる。
 私はボールでも廃棄物でもありませんが!?

「待機、と。指示した筈だが?」

 自分の椅子に寄り掛かり。
 私の背後で扉の内側から鍵を閉めた上司殿に振り返る。

 ま、待って?
 何故に鍵?
 何故に密室??

「人手が足りなくて、代理を頼まれたんですが……」
「君は、誰かの頼みなら、自分の仕事を簡単に投げ出せるのか?」

 そう言われましても、あの場合は不可抗力でしょ……
 って、なになに!?
 なして、正面から覆い被さってくるんですか!?
 顔が怖い! 怖すぎる!!

「わ、私達の仕事は、直結してなくてもお客様の為の物です! 重要なのは目の前をどうするかではなく、お客様に必要とされる仕事をするかどうかだと思っていますが、何か問題がありましたでしょうか!?」

 反りそうな背中を、椅子の背もたれに預けた両腕で必死に支えています。
 腕も足もガクガクで、ブルブルしています。
 せめて、その怒りを収めてはいただけませんかっ!

「…………はあ――――……っ」

 ……ため息?

「すまない。君はちゃんと自分の仕事をこなしただけだ。悪くはない」

 ??
 離れてくれるのは、ありがたいのですが。
 仰る意味がさっぱりです、上司殿。

「帰ろう」
「はあ…… ?」

 それぞれ荷物を持って、二人一緒に管理室を出る。

 昨日みたく女性陣に注目されるのは、個人的にすっごくイヤなので!
 十分距離を取って、後ろを歩かせていただきますが!
 よろしいですよね!?

 ううう……、心臓が半分以上凍ってしまった気がする。
 寒いよおーっ。
 体の震えが止まらないじゃないかっ。

「では、明日」

 書蔵館を出て、昨日と同じ道を辿り、家の前に着いた直後。
 教会辺りから前後を入れ替わって、私の数歩後ろに控えていた上司殿が、サッと引き返していった。


 ……本当に、どうしちゃったの? 室長……。



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