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逆さの砂時計
忘却のレチタティーボ 2
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ましても。あの場合は不可抗力でしょ……って、なになに!? なんで覆い被さって来るんですか顔が恐い恐すぎる!!
 「わ、私達の仕事は、直結してなくてもお客様の為の物です! 重要なのは目の前をどうするかではなく、お客様に必要とされる仕事をするかどうかだと思っていますが、何か問題がありましたでしょうか!?」
 反りそうな背中を必死に腕で支えてます。腕も足もガクガクブルブルしてます。
 せめて、その怒りを収めていただけませんかっ!
 「…………はー……っ」
 ……溜め息?
 「すまない。君はちゃんと仕事をしただけだ。悪くはない」
 ??
 離れてくれるのはありがたいのですが、仰る意味がさっぱりです上司殿。
 「帰ろう」
 「はあ…… ?」
 荷物を持って管理室を出る。昨日みたく注目されるのは嫌なので、距離を取って後ろを歩かせていただきますが、よろしいですよね。
 ううう……心臓が半分以上凍ってしまった気がする。
 寒いよぉーっ。体の震えが収まらないじゃないかっ。
 「では、明日」
 書蔵館を出て昨日と同じ道を辿り、家の前に着いた時。教会辺りから前後入れ替わって数歩後ろに控えていた上司殿が、さっと引き返した。

 ……本当にどうしたの? 上司殿……。


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