暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第1章 光をもとめて
第9話 リーザスの王女
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思えるヤツ」
「そ、そっか、大変だね……」

 散々ないい方なのだが、本当に本心からの言葉だという事が、その表情から判った様で、メナドはため息を吐いていた。でも、彼女は直ぐに表情を引き締める。

「ん、でも、あの方の為……、だから」

 何処か、哀愁を漂わせているけれど、それを覆い尽くすだけの決意も、見えていた。

「そだね」

 だから、メナドはまた、安心した。時折、思いつめている顔もするから。……だから、メナドは話題を変える事にした。いや、自分から話したかったのかもしれない。

「あっ! そうだ。男の人、と言えばさ。ボク、すっごく格好いい人に出会ったんだよ」
「……へ? 何、ほんとに?? 城門で見かけたとかじゃなくて?」
「じゃなくて。すごく強くて、格好いいんだよー。最初はさ。可愛いかな? って思ってたんだけど……、すごく強かったから、そんなの吹き飛んじゃったんだ。格好良かったんだー」

 思い出しているのだろうか、メナドは目をキラキラと輝かせていた。

「へぇ、強いって、どこくらい? メナドよりも?」
「うん。危ない所、助けてもらっちゃってさ。……なんと、あのゾンビエルフをあっと言う間に一蹴! ボクが1匹モンスターをやっつけてる間に、2,3匹も余裕で、倒しちゃって。ボク、勝負挑んだのに、完敗しちゃったよ」

 てへへ、と笑うメナド。負けたと言うのに、そこには悔しさなどはなく、出会えた事の喜びの方が大きい様だった。

「え? そ、それは凄いね。ゾンビエルフって……私でも正面からだったら 押し切れるかどうか……。それに メナドが言うって所も凄い。 ……ふーーーん、へーーー……、すごいのね。ほんと。その人って、軍の人?」

 彼女も興味を持った様だ。共に訓練をする事も多いメナド。だからこそ、その強さに関しては自分でもよく知っているのだ。向上心もあるから、どんどん力もつけて行っている。……だからこそ、完敗した、と言う言葉に驚きを隠せれない。
 でも、軍の人であれば、不思議ではない。メナドは強いとは言っても、やっぱり門番だから、実戦経験が少ないから。
 メナドは、笑いながら首を左右に振った。 

「ううん。違うよ、えっと……本人から直接訊いた訳じゃないんだけど、多分冒険者、かな」
「へー……、リーザスで依頼でもあったのかな? 冒険者かぁ……。ん? ひょっとして、メナド もう付き合ってたり?」
「うぇっ?? い、いや、そうじゃ、ない。よ? ちょっとそんな感じは……」

 モジモジとしながら、恥ずかしそうに俯かせるメナド。そんな親友の顔を見てしまえば、いじってしまいたくなる衝動が湧き上がる。

「うわー、ほんとー? 前はそんな事、一言も言ってなかったのにさ?」
「う、うん。でも、ボクを助けてく
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