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魔法使いへ到る道
3.大人同士の話って子どもには退屈なんだよ!
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は子ども。俺の敵ではない。
 反復横とびですべて避けきってくれたわ。フハハハ。
 ぎゃーぎゃーと騒ぎながら俺たちは店内へ歩を進める。そっと後ろを確認したところ、両親と士郎さんは二言三言言葉を交わすと、言葉少なく連れ立って歩きだした。


「どうも、八代雄飛です。はじめまして」
「妻の優衣です」
「息子の健児です。初対面の人ははじめまして。そうでない人はこんにちは」
 これが八代家の戦闘前口上である。嘘である。
 正直な今の心境としては、なんだかめんどくさい事になったなぁ、という感じである。
 なんと、喫茶翠屋の店内には経営者の高町一家の他に、アリサの父親のデビット・バニングス氏と執事兼運転手の鮫島さん。加えて、すずかの姉の月村忍さんと月村家に仕えているメイドのノエルさんとファリンさんの姉妹がいたのだ。
 道理で店の前に黒塗りの車が二台も停まっている訳である。気付けよ俺。
 周囲に説明を求め、子どもならではのどこか要領の得ない話をまとめると、以前の学校に親が呼び出された際に士郎さんとデビットさんが親しくなり、普段仕事で忙しいデビットさんがたまたま空いた休日に娘が翠屋に行くというのでそれに便乗し、さらには妹同士が友人になったことがきっかけでこれまで同じ高校に通っていたがあまり接点がなかった恭也さんと忍さんが親しくなり、やはりたまの休日に妹が出かけようとしているのでそれに引っ付いてきて、意図せずして見事に三人の家族がそろい、丁度いいから子どもたちの情報交換をしつつ親睦を深めよう、という話になった矢先に俺たち一家が訪れたらしい。
 うん。どこをどんなふうにしたらこんな偶然が起きるんだ。びっくりだよ。というか恭也さんと美由希さんも父さんと母さんを見た瞬間身構えたのはなんで?早々に子どもしかいないゾーンに逃げた俺にはそれ以上父兄さんたちの話を聞くことはできないけど、なんとかうまくやってほしい。
「大丈夫かな?父さんたち、ちゃんと仲良くできると思う?」
 思わず正面のなのはに問いかけてしまう。
「………」
 しかし、当のなのはちゃんは話しかけた途端ぷいっとそっぽを向き、一言もしゃべってくれなかった。
 思いがけないことにやや面食らい、同時になんとなくいやな予感を覚えながらも今度は斜向かいのアリサに目をやる。
 こっちははなから俺と顔を合わせる気が無いらしく、頬杖をついて窓の外をながめていた。
 最後の砦となった隣のすずかはというと、二人とは違い俺から顔を背けることは無く、むしろ「なに?」という風に首を傾げていた。いつもとおなじようにニコニコと朗らかな笑みを携えて。
 一瞬安心しかけたが、すぐに思い直した。表情が微塵も動かない。ぴくりともしない。その笑顔の下にどんな感情が有るのか俺には分かるわけが無かった。
 怯み掛けたが気を取り
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