3.大人同士の話って子どもには退屈なんだよ!
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んと振り、俺は父親の問いかけに元気よく頷いた。
そして、後日。我が八代一家は翠屋の前に集結していた。
別に気負う必要は無い。軽く挨拶に行くだけだ。特別おめかしもしていない。自然体自然体。
尚、本日俺が翠屋を訪れることはなのはを含めた三人娘には話していない。それよりも先に今日ここにすずかとアリサがくるという情報を仕入れたので敢えて控えたのだ。有り体に言えば、ちょっとしたサプライズである。
親父が先んじてドアのノブを掴む。カランコロン、という気持ちのいい響きのドアベルが鳴ると、入り口まで士郎さんが出迎えてくれた。
「いらしゃいませ。喫茶翠屋にようこ―――っ!」
笑顔で迎えてくれたはずの士郎さんだったが、突然顔を険しくして少し下がった。急にどうした?
「…………」
「…下がってなさい」
さらに。こちら側は父親が俺たちを背に隠すようにして一歩前に出、母は俺の前に手を出し前に行かないようにする。
三人とも目が鋭い。空気がピリピリしている。シリアスに突入するのは勝手だけど俺を巻き込まないでほしい。
どーしたもんか。この場の雰囲気を変えれるような手段はないか、と考えだした時だった。
「あー!ケンジくんだ!」
パタパタと店の中からなのはが駆け寄ってきた。よう、と軽い感じで父親より前に出る。焦ったような表情で、今にも「なのは、危ない!」とか言い出しそうな剣幕だった士郎さんは、しかし俺を見た瞬間硬直した。なのははそんな父親の奇行が目に入らないのか、ニコニコと俺を見て笑っていた。
「どうしたのケンジくん、お店に来るなんて。昨日さそったら用事があるっていってたのに」
「ああ、アレは嘘だ」
「えぇっ!?」
そうなのだ。
なのはとアリサとすずかがこの店にそろう、という情報を俺に流したのは他でもない、なのは当人なのだ。
まあその場では適当に歯医者に行くとか言って誤魔化したんだが。
「実はここにくるのはおとといから決めてたんだ。だから昨日の話はでっちあげだ」
「ひどい!なんでそんなことするの!?」
「キミの驚く表情が見たかったからだよ。お嬢さん」
「にゃー!」
嘘を吐かれたことにか、それともそれをまったく悪びれもしない様子にか。いずれにしてもなのはは奇声を上げて激昂し、俺に殴りかかってきた。子どもにありがちな腕を回すだけのぐるぐるパンチで。
それをすべて回避する。運動オンチのなのはの拳なら容易い。当たっても痛くないだろうが、しかし、おちょくれるまで人をおちょくるのが俺の流儀だ。
騒ぎを聞きつけてやってきたアリサとすずかが俺の姿を見てやはり驚いた。そして真相を(というか嘘を)話すとやはり怒った。アリサなんかは同じように殴ってきた。へっぽこなのはと違いアリサの運動センスは小学生にしては中々だが、しかし所詮
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