7部分:第七章
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ずつ姿を現わして飛んで来た。そのまま速水がタロットをなおしたテーブルの上にやって来た。
「ワインよ、赤の」
「赤ですか」
「ワインは好きだと思っていたけれど。違うのかしら」
「いえ、好きですよ」
速水は口だけで笑ってそれに答えた。
「ただ。何か特別な気がしましてね」
「どういうことかしら」
「貴女と二人で飲むからですよ。これがどうも」
「私と飲むと味が変わるのかしら」
「はい。甘いワインはまるで蜜の様に、辛いワインはまるで薔薇の花の様に」
速水は言う。
「その味を変えます。このうえなく美味に」
「お世辞かしら」
「いえ、お世辞ではないです。この赤にしろそれまでの赤から宝石の赤になります。そう、まるでルビーをそのまま溶かした様な赤に」
「その宝石を飲む気持ちはどうかしら」
「私にとっては。至上の喜びです」
「わかったわ。では飲みましょう」
「はい」
「これからの宴の前祝いに」
「黒と影の世界の為に」
「乾杯」
二人は杯を打ち合わせた。そして酒の甘美な世界へと入った。
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