7部分:第七章
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滅、窮地といった最悪の意味である。塔のカードは正でも逆でも意味はさして変わらない。最悪のカードである。
「前途は多難みたいね」
「ですね。それはわかります。そして今私達が置かれているのは」
またしても逆であった。世界の逆。既存のことが成り立たなくなるか、袋小路に入る。やはりいい意味のカードではない。世界は本来は非常に素晴らしいカードなのだが逆になるとこうなるのだ。
「やはり。厄介な話みたいですね。では周りの状況は」
それが八枚目である。今度は悪魔であった。
「・・・・・・これは直接感じました」
速水はカードを見て言った。
「今回の件は魔性ですね」
「やっぱりそうなるのね」
それは沙耶香も感じる。そもそもそうでなければ二人が呼ばれる筈もないのだから。
「では解決出来るのか」
九枚目、そこにあったのはまたしても逆のカードであった。十三番目のカード、死神であった。これは実は悪いカードではない。正ならば復活、逆ならば再生である。
「発想の転換をしてみろ、ですかね」
「そうみたいね」
「ただ、どうにも教皇と関係がありそうですね」
速水はこれも感覚で感じていた。
「二番目のカードと」
「はい。五、ですか」
彼はそれを頭に留めることにした。そして遂に最後のカードを裏返す。そこにあったのは隠者であった。静かな、表に表われるものではない知性を表わす。カードはそれで終わりであった。
「最後にはちょっと以外ですね」
「隠者の正。どうなるのかしらね」
「ま、悪いカードではなくて何よりです」
まずはそれに安堵した。
「ただ。厄介な話にはなりますね」
「そうね。それでも」
沙耶香はベッドから起き上がった。起き上がりながら指を鳴らすとそれで服がその身に纏われた。あの漆黒のスーツであった。ネクタイはやはり赤であった。
「魔法ですか」
「下着もちゃんと着けているわよ」
「そんなものなくともいいですのに」
「何度も言ってるでしょ。まだ貴方には何も感じないのよ」
「私に魅力がないと」
「それは違うわね。貴方には充分な魅力があるわ」
ベッドから出ながら言う。それは認めていた。
「けれど」
「けれど?」
「それだけでは駄目なのよ。私が人を好きになるのにはね」
「複雑な方です」
速水はその言葉を聞いてうっすらと笑った。
「数多の少女や美女達は味わうというのに」
「味わうのと愛するのは別よ」
それが沙耶香の返事であった。
「また違うわ。貴方ならわかるでしょう?」
「確かに。それでは今はまだ、ということで」
「ええ。ところでお酒がまだあるけれど」
「お酒ですか」
「メイドさんがね。持って来てくれたものよ」
速水と向かい合ってテーブルに座る。そして指を鳴らすとふわふわとボトルとグラスが二つ
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