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黒魔術師松本沙耶香  薔薇篇
6部分:第六章
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第六章

「どう、女の味は」
 少女を味わった後で尋ねる。その尋ねる声は既に答えがわかっている声であった。
「これが。女の人なんですね」
「そうよ」
 少女を横目で見て答える。こう言うのはわかっていた。
「忘れられないでしょ」
「はい」
 こくりと頷く。
「何か。男の人とはまるで違った」
「男もいいけれどね。女もまたいいものなのよ」
 沙耶香は言う。
「男とは違った味があるのよ。だから女は止められないのよ」
「同性愛、なんですか?」
「いいえ、違うわ」
 それは否定した。
「今言ったでしょ。私は男でもいいのよ」
「そして女でも」
「そうよ。堕とせる相手なら誰でも」
 その目が妖しい光を放っていた。その光こそが沙耶香の光であった。普通の世界にはない光、強いて言うならば魔界にある光であった。人を、それも何も知らない純粋な人を悪の道へと誘う、そうした光であった。
「いいのよ。それが私なの」
「はあ」
「よかったわ、私も」
 そのうえで少女に声をかけた。
「また機会があったらね」
「はい」
「こうなりましょう。いいわね」
「はい、また」
 また一人女を抱き己の背徳の道へと誘ってしまった。彼女にとってはそれは愉しみであり止められないものであった。少女がベッドから出て服を着て部屋を出ても暫くはベッドの中にいた。
 そのまま煙草を吸いながらベッドの中で寝ていたがやがて扉をノックする音が聞こえてきた。そのノックの主が誰であるか直感でわかった。
「少し、いいですか」
「ええ」
 それに応えた。するとそれに応える形でノックの主が部屋に入って来た。
 入って来たのは速水であった。彼は涼しげな顔で部屋に入って来た。
「おや」
 まずはベッドの中で煙草を吸っている沙耶香に気付いた。
「また。楽しまれていたのですね」
「少しね」
 沙耶香もそれを隠すことはなかった。にこやかな笑みでそれに返した。
「愉しませてもらったわ」
「左様ですか。相変わらずお好きなことで」
 こうしたことには慣れているらしい。彼はベッドの中の裸の沙耶香を前にしても何ら変わったところはなかった。
「また。女の子ですか」
「わかるのね」
「ええ。香りでね」
 速水はくすりと笑ってこう述べた。
「わかりますよ。この香りはまだ少女ですね、いや」
 実は彼は香りではなくそこに残る気配を探っていたのだ。これは彼や沙耶香だからこそわかるものであった。
「少女から大人の女の人へなっていく。そんな時にいる人ですかね」
「御名答」
 沙耶香はここまで聞いて微笑んだ。煙草をすっと闇の中へと消す。
「その通りよ。流石ね」
「これ位ことは僕でもわかりますよ」
「それじゃあ。もっと他にもわかることはあるかしら」
「はい」 
 速
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