第1章 光をもとめて
第8話 消滅の対戦
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見が多いが彼は違った。凄まじい修練の成果だろうか、乱戦でさえその型が一切崩れないのだから。
ユーリは剣の鍔元に手を宛がった。……そして、ゆっくりと切っ先へと手を動かしていく。
「煉獄」
そう呟いたその時、まるで剣が燃えている様な錯覚に清十郎は囚われていた。
赤く燃えたかと思えば、次はまるで漆黒。闇を纏っているかの様に、黒く染まる。その剣は まるで黒い水晶の様に美しくもあるが、纏っている気配は凶悪だ。
……殺気でここまでのイメージを具現化させるのか、殺気を武器に込め 他者の眼にまで、それを見せる事ができるのか、と感じていた。
「ふ……くくく、……ゆくぞ!!」
清十郎は脱力したまま、一気にマックススピードまで速度を上げた。0から10まで、到達するのがとてつもなく早い。常人であれば、まるで瞬間移動したかのように錯覚するだろう。
《歩法・縮地》
圧倒的身体能力・敏捷性がとてつもない者のみが使用する事が出来る高速の移動術だ。その速度から二刀の連撃に繋げる。
だが、ユーリに斬りかかる刹那、清十郎は、この相手は『斬れない』。『斬る事が出来ない』と、即座に理解する事が出来た。
それは、瞬きすら出来ない程の刹那の時間。はっきりと、見る事が出来、且つユーリの言葉も聞き取れた。
「乱閃」
それは、凄まじい速度の剣撃だった。凡そ10……12……それ以上の剣閃。捌ききる事は出来ず、且つ自分の剣も届かない。 渾身の二刀の攻撃が届く間に、受けた神速の連撃。
「ぐあぁっ!!」
その瞬間、血飛沫を上げるのは清十郎だった。万遍なく身体中を斬られてしまったようだ。
斬られ、地に伏しかける清十郎を見て、数秒後、観客達も理解する事が出来た。
「……す、すごい」
「ま、まったく 見えなかった………」
「気づいたら、あいつ血だらけになってやがった……」
騒然とした観客。騒然とするのは多分一瞬。直ぐに一気に湧くだろう。
「ぐへへ〜〜。さ〜すがユーリだねぇ! ほんと、ごっつぁんです!」
手を合わせているのはロゼだ。確かに、ロゼの言う通り 勝負アリ。……傍目に見ても決着はついている。死んではいないけれど、戦える様には見えない。それ程の状態だからだ。
「やー儲かった儲かった♪」
ロゼはニヤニヤしつつ、試合終了宣言を待っていた。
「お、おいおい……、神官のくせにあんだけ斬られてるヤツ見て、そりゃねぇんじゃね?」
全身から血が出ている相手を見て、流石に酔いがさめた者もいたのだろう。薄ら笑みを浮かべてるロゼにそう辛辣していた。
「あらあら、まぁまぁ! ほんっとに酷そうな傷です。試合が終われば一刻も早く癒してさしあげなければ! 金額
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