暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第1章 光をもとめて
第8話 消滅の対戦
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 清十郎はそう思っていた。
 自身のいた国……、世界では異人はいたものの そこまで戦いが多かったか?と問われれば明らかにこちらに比べたら少ない。訓練と実践の違い……比じゃないのはよく知っている。

(だが……!)

 清十郎は、剣の柄を握る手の力を上げた。

「遊ばれているのにも飽きたな……。いい加減本気を出せ。……お前の力をこの身で味わってみたい」

 決して、ユーリに手を抜かれている訳じゃない。だが、清十郎は まだ 相手は力を出し切ってはいないと直感したのだ。

「遊んでいるつもりは毛頭ないがな。これも戦術の1つのつもりだ。それに久しく見ない強者にであったから。楽しんでいるのは事実だな」
「ふふ……、確かに剣術においてはオレは貴様の足元にも及ばんだろう。……が、己を過信するなよ。このままで終わるとは思わないことだ」

 不敵に笑う清十郎。ユーリは、それだけ見て良く判った。清十郎は、まだ隠し玉を持っているだろう事を。

「(恐らくは切り札。……といったところだろうな) 面白い……」

 ユーリは、剣を鞘から引き抜いた。その所作に場が騒然となる。攻撃の起点は納刀した状態から。その構えから始まるのが 彼の戦闘スタイルだと皆が思っていたからだ。何度か打ち合い、間合いを取る度に、剣を納刀していたから。

「おおっと〜〜〜! ユーリ選手! ここで初めて剣を抜いた状態で構えた〜〜!!」
「……戦術変更、スタイルチェンジ、と言った所でしょうか。中々に堂に入ってると言えますね。数多くの剣術を極めている可能性もありますね」
「ああ〜、成程〜! そして、対する清十郎選手は、二刀を下げた下段の構えだ〜!」
「……清十郎選手は脱力を。……完全に 脱力しきってますね。あの構えであれば、例えどんな剣撃でも、反応し動けると思われます。まだ判りませんが、カウンターを狙っているのかもしれません」

 観客も実況も興奮している。それ程の戦いなのだろう。観客の1人が前言撤回をしていた。

「……こりゃ、さっきの試合と変わらない所かそれ以上かも知れねぇぞ? 歴史的名勝負が日に二度も見れるなんてな」
「へ、へははは……確かに、鳥肌立っちまったよ。こんな試合の目撃者になるんだからな」

 もう、酒を飲むのも忘れ魅入ってしまっている。何人かは、叫ぶのを止め手に汗握りっていた。

「ユーリさん……やっぱり凄いっ……。本当に今日間に合ってよかった。あの時と何も変わってない…」

 少女はユーリの姿を目に焼き付けながら呟く。町の外で助けてくれた時。トラブルに巻き込まれてしまったときに助けてくれたあの時。その時のままの、他者を魅了してしまう程の鮮やかな剣撃のままだった。型に嵌った魅せる剣技、舞踏と言うのは、実践では使えない。と言う意
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