第1章 光をもとめて
第8話 消滅の対戦
[4/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
いのだ。
(……我が祖国ではもう相手すらいなかった。異人を殺す為に血反吐を何度も吐く程の鍛錬を経てこの境地に来た。この異界に来てからも、相手と言う相手がいなかったが。この男は……)
それは認めたくは無い事でもあった。
自身の鍛錬の成果、それは出ている事は実感はしていた。ここに来てからも、それは変わらない。……が、それはあくまで、リーザスと言う比較的平和な国のモンスター、人間としか戦ってきていない。だから、見誤っていたのだ。だが、この時はっきりと認めた。
(……この男はオレよりも遥かに高みにいる)
自分の力を遥かに上回っている事を、清十郎は理解し、認めたのだ。
「……一撃で、腰が抜けた……、とは言わないよな?」
「ふふ……馬鹿を言うな。もっと、オレを楽しませてくれ!」
清十郎は一気に跳躍し、再びユーリと剣を交差させていた。再びコロシアムの中央で、両者の剣が交錯し合った。
「……本当に驚きました。ユラン選手とランス選手の戦いも、確かに凄かったです。……ランス選手の一撃も素晴らしいものでしたが、たった一撃でここまで、ここまで離れた場所にまで空気が震えたと感じたのは無かったですね」
「そ、そ〜ですね……、ちょっと驚いてしまいました〜。で、では! アイサツ代わりの一撃〜と言う事だと思われますが、どうでしょうか〜?」
「……そうですね、一瞬でしたが 清十郎選手の表情が強張りました。逆にユーリ選手は表情こそは見えずらいですが、雰囲気のそれは全く変わりませんでした.……根拠はそれだけですが、現段階では、ユーリ選手優勢と見えます」
「なるほど〜……」
「でもまだ始まったばかりです。……勝負は、最後まで判りません」
そう言うそのマイクを持つ手が僅かながら力が入り、そして震えているのがわかった。恐らくは自身も戦ってみたいと、血が滾っている事だろう。将を関する男は、そう言うもの、なのだろうか。だが、この男は将は将でも、格が違う。
(ああ〜〜……、とっても戦いたそ〜。流石は死神さん〜と呼ばれる事ありますね〜……)
ナギサはそんな横顔を見つつ、苦笑いをしていた。 エキシビションマッチ……楽しみにしているのだろうと。
そう、この実況席で解説をしている彼こそ、リーザス最強と称される赤い死神と呼ばれている将軍なのである。
その後も、ユーリと清十郎は 一進一退の攻防を繰り返していた。
だが、傍目からは ランスとユランの時の様に 五分の戦いをしている、と見えるだろう。だがそれは違った。完全に誘導され、攻撃の先の先まで読まれてしまっている。
それが色濃く解っていたのが清十郎だ。
(身体能力は別としても、剣の腕は、明らかに向こうが数段上……か。これが、経験の差なのだろうか
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ