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SAO−銀ノ月−
第八十三話
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いく……すなわち、次は俺たちの番だった。

「翔希翔希! あれ見て、アレ!」

 得もしれぬ感覚に俺が戦慄していると、里香が俺の服を引っ張ってきた。何があった、と里香の方を見ると、そこには……このゲーム《Dead and Dead》の説明が記載されていた。恐らく、本来ならばこの看板で説明しているつもりが、行列で意味をなしていないのだろう。里香と共にゴクリとつばを飲み込みながら、そのゲームの説明を読み解いていく。

 ――曰わく、この改装より一階層上を丸々セットにした、完全現実ガンシューティングだという。参加者は、バイオハザードが起きた病室――という設定の階層――を、はびこるゾンビ達――もちろんAI制御のCGで作られた者――をレーザーガンで退治しながら、ボス敵を倒し病院から脱出することでクリア、というゲームだそうだ。


 ……なるほど。完全現実という触れ込みも《Dead and Dead》という物騒な名前も、それぞれ頷けるゲームだった。もっと古風に言うならば、来場者参加型お化け屋敷、か。終了後のあるお楽しみも込みで、カップルが多いのも納得だった。

「……こんな真っ昼間からホラゲーなんて聞いてないわよー……」

 ぼやく里香にこんな物騒な名前のゲームに並んでおいて今更だ、と言おうとしたが……並ぼうと言ったのはどちらだったか。もしかしたら自分かもしれないので黙っておくと、もう一つ向こうのドアから先程のカップルが飛び出してきていた。どうやら、命からがら何とか脱出出来たらしい。

「次の方、どうぞー」

 ……それからしばし、店員の指示で俺たちはその黒い筐体に入っていく。中はどうなっているのかと思っていると、案外明るい部屋がそこで俺たちを待っていた。

「ブリーフィングルーム、みたいね」

 里香の言った通り、そこはブリーフィングルーム――作戦会議室のようで、まだゾンビが現れる病院ではないらしい。俺たちが入ってくるのと同時に、ブリーフィングルームに備え付けられていたテレビに警察の男が映り、作戦会議という名のゲームの説明に入っていく。さっき黒い筐体の前で見たことと大体同じだったので、特に聞くこともなく聞き飛ばしていると、最後にテレビに映っていた警察の男が、気になることを言って電源が切られた。

『ベテラン刑事のお前が、ニュービーの可愛い子ちゃんをしっかり守ってやるんだぞ』

「多分これよ、翔希」

 ニュービーの意味は、かのALO事件の時に言われたこともあって覚えたが――しかし今でも、どうして新人のことを《ニュービー》と呼ぶのかは分からないが――はて、どういうことだろうか……と、考えていると、里香が俺の目の前の机に二つの装備を置く。ベテラン刑事装備と新人装備――なるほど、二人でこれらをロールプレイするように出来て
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